痴呆の予防・治療と食事栄養

文献情報

文献番号
200500356A
報告書区分
総括
研究課題名
痴呆の予防・治療と食事栄養
課題番号
H16-痴呆・骨折-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
植木 彰(自治医科大学附属大宮医療センター神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門)
  • 苗村 育郎(秋田大学保健管理センター)
  • 宮永 和夫(群馬県こころの健康センター)
  • 須貝 佑一(社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター)
  • 山下 一也(島根県立看護短期大学看護学科)
  • 橋本 道男(島根大学医学部医学科環境生理学)
  • 池田 和彦(財団法人東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所)
  • 佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進・人間栄養学研究系)
  • 大塚 美恵子(自治医科大学附属大宮医療センター神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
15,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
どのような食事パターンが認知機能の維持につながるか、どのような栄養指導を行うことが認知機能の低下の阻止ないしは改善につながるかを調べる目的で、横断研究、縦断研究、介入研究を行った。
研究方法
食事栄養調査には自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いた。認知機能検査はMMSEとHDS-Rを用いた。血液検査としては空腹時血糖、75 g糖負荷試験、脂質(コレステロール、中性脂肪)、血中ビタミンC、ビタミンE、総ホモシステイン、および赤血球脂肪酸分析を行った。介入研究における栄養指導は、野菜・果物と魚の摂取、総摂取エネルギーの適正化、甘いものの制限を基本とし、遵守度を評価した。介護施設では残食を秤量し正確な摂取量を求めた。
結果と考察
①横断的研究では、血清ホモシステイン濃度が認知機能と逆相関することが複数の地域で認められた。しかし、認知機能と関連する特定の食品や栄養素は見られなかった。②縦断研究では、認知機能が改善した群は悪化した群に比して蛋白質、n-3系脂肪酸、魚介類摂取量が有意に高かった。また改善群は悪化群に比して、総摂取エネルギー、野菜の摂取が多く、栄養素的にも総脂肪酸、コレステロール、亜鉛などの微量金属などすべての食品と栄養素を満遍なく摂取していた。③介入研究では、アルツハイマー病患者に対する魚、野菜の摂取、総摂取エネルギーの適正化による栄養介入は認知機能を30ヶ月間維持させ、非介入群の認知機能の自然経過による低下との差が有意であった。介入においては食事指導に対する遵守が重要であった。アルツハイマー病患者の約8割は糖尿病、高脂血症、高インスリン血症のいずれかを持っており、病態に応じた個別の栄養学的介入が重要である。介護施設の入居者における栄養管理に関しては、死亡例や重篤な疾患発症者をも含めた長期にわたる縦断研究が必要である。
結論
食事を中心とした栄養介入は認知症の予防や治療に有力であり、安全かつ理にかなっている。認知症に対する非薬物療法には、運動、栄養、脳への刺激の3つが必要であり、予防・治療のための総合的プログラムの中に栄養を位置づけることが必要である。今回の結果は、地域、医療機関、介護施設での個別栄養指導の基礎データを与えるものである。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200500356B
報告書区分
総合
研究課題名
痴呆の予防・治療と食事栄養
課題番号
H16-痴呆・骨折-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
植木 彰(自治医科大学附属大宮医療センター神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科部門)
  • 苗村 育郎(秋田大学保健管理センター)
  • 宮永 和夫(群馬県こころの健康センター)
  • 大塚 美恵子(自治医科大学附属大宮医療センター神経内科)
  • 須貝 佑一(社会福祉法人浴風会認知症介護研究・研修東京センター)
  • 山下 一也(島根県立看護短期大学看護学科)
  • 佐々木 敏(独立行政法人国立健康・栄養研究所 健康増進・人間栄養学研究系)
  • 池田 和彦(財団法人東京都医学研究機構・東京都精神医学総合研究所)
  • 橋本 道男(島根大学医学部医学科環境生理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
どのような食事パターンが認知機能の維持につながるか、どのような栄養指導を行うことが認知機能の低下の阻止ないしは改善につながるかを調べる目的で、横断研究、縦断研究、介入研究を行った。
研究方法
食事栄養調査には自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いた。認知機能検査はMMSEとHDS-Rを用いた。血液検査としては空腹時血糖、75 g糖負荷試験、脂質(コレステロール、中性脂肪)、血中ビタミンC、ビタミンE、総ホモシステイン、および赤血球脂肪酸分析を行った。介入研究における栄養指導は、野菜・果物と魚の摂取、総摂取エネルギーの適正化、甘いものの制限を基本とし、遵守度を評価した。介護施設では残食を秤量し正確な摂取量を求めた。
結果と考察
①横断的研究では、血清ホモシステイン濃度が認知機能と逆相関することが複数の地域で認められた。しかし、認知機能と関連する特定の食品や栄養素は見られなかった。②縦断研究では、認知機能が改善した群は悪化した群に比して蛋白質、n-3系脂肪酸、魚介類摂取量が有意に高かった。また改善群は悪化群に比して、総摂取エネルギー、野菜の摂取が多く、栄養素的にも総脂肪酸、コレステロール、亜鉛などの微量金属などすべての食品と栄養素を満遍なく摂取していた。③介入研究では、アルツハイマー病患者に対する魚、野菜の摂取、総摂取エネルギーの適正化による栄養介入は認知機能を30ヶ月間維持させ、非介入群の認知機能の自然経過による低下との差が有意であった。介入においては食事指導に対する遵守が重要であった。アルツハイマー病患者の約8割は糖尿病、高脂血症、高インスリン血症のいずれかを持っており、病態に応じた個別の栄養学的介入が重要である。介護施設の入居者における栄養管理に関しては、死亡例や重篤な疾患発症者をも含めた長期にわたる縦断研究が必要である。
結論
食事を中心とした栄養介入は認知症の予防や治療に有力であり、安全かつ理にかなっている。認知症に対する非薬物療法には、運動、栄養、脳への刺激の3つが必要であり、予防・治療のための総合的プログラムの中に栄養を位置づけることが必要である。今回の結果は地域、医療機関、介護施設での個別栄養指導の基礎データを与えるものである。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500356C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アルツハイマー病患者では高率に糖・脂質代謝異常を認め、総エネルギー摂取過剰(過食)と関連していた。2縦断研究の結果、一般住民では、栄養素のうち抗酸化ビタミン、葉酸、魚油が認知機能の維持、改善に関連していた。野菜と魚の摂取が推奨される。3魚、野菜の摂取、総摂取エネルギーの適正化による栄養介入は認知機能を改善させ、30ヶ月維持した。複数の抗酸化物やビタミン、ミネラルがアルツハイマー病の発症に関連するという基礎研究とも合致する結果であった。
臨床的観点からの成果
1アルツハイマー病患者の背景にある糖・脂質代謝異常を評価することによって、個別の栄養介入への道筋をつくることができた。縦断研究の結果からは、アルツハイマー病の予防として野菜と魚の摂取が推奨される。特に野菜ジュースは入手が簡便であり、均一であることから、介入手段として今後応用が期待される。認知症を発症してしまった患者に対しても栄養学的介入が有効であった点は、これまでの薬物介入よりも優れた結果であり、栄養介入は有力な非薬物療法となりうる。
ガイドライン等の開発
なし。
その他行政的観点からの成果
なし。
その他のインパクト
1.植木 彰:ご飯で健脳食.今どきごはん 吉田 惠のご飯で健康コーナー テレビ朝日 04.9.26
2.植木 彰:アルツハイマー病と食事栄養.「今日の健康」 日本放送 04.11.1-5
3.植木 彰:認知症の予防. NHK 今日の健康 2005.4.4-6
4.植木 彰:NHK生活ほっとモーニング「からだはエライ!アルツハイマー治療最前線」2005.11.22

発表件数

原著論文(和文)
11件
原著論文(英文等)
33件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
23件
学会発表(国際学会等)
25件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計3件
その他成果(特許の取得)
0件
1)カテキン類を有効成分とする空間認知機能改善剤(出願中:2004-255373) 2)認知機能障害治療剤(出願中:2004-325222) 3)神経再生剤(出願中:国内特許2005-46203)
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-