ウェアラブル重心動揺測定装置を用いた人工関節置換術後早期リハビリ法の考案

文献情報

文献番号
200500344A
報告書区分
総括
研究課題名
ウェアラブル重心動揺測定装置を用いた人工関節置換術後早期リハビリ法の考案
課題番号
H17-長寿-035
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
祷 史明(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岩城 啓好(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 小林 章郎(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人工関節置換術は現在頻繁に行われており現在は早期退院、早期社会復帰が求められている。
そこで、我々はクリニカルパスを作製し、早期社会復帰をめざし約3週間で社会復帰を標準とすることが可能となった。
しかし、医療はそもそも個別のものであり、強引に標準化を行うことは望ましいとは言えず、リハビリ進行度を評価する新しい方法として、体に装着することができ、歩行路にまったく制限を加えないため病室でも計測が可能なウェアラブル重心動揺測定装置を用術後人工関節リハビリテーションプログラムに応用することが本研究の目的である。
研究方法
1.本装置を装着した健常者18名にたいし歩行実験を行った。
2.42名の変形性股関節症の患者に対し、このセンサーと重心動揺計を同時に用い、30秒の閉眼立位検査を行った。
3.片側人工股関節置換術前後の12例にポータブル動作解析機装着下で10m歩行検査を歩行訓練開始時,松葉杖開始時,機能訓練終了時に測定を行い,健患支持率,歩行スタンス幅,歩行速度を計測した.
4.人工股関節置換術を施行患者17例に、筋力測定を術前および術後において毎日実施した。測定は股関節外転および伸展の等尺性筋力を測定し、筋力は術前値の80%で回復とみなした。退院後は2週後、3ヶ月後、6ヶ月後の外来診察時に同測定を実施した。
結果と考察
1.歩行スタンス、歩行速度などについて運動機能の回復度との相関性を確認し、リハビリテーション治療成績の定量化において有効であることを実証した。
2.このセンサーの精度検証を行った結果、従来の重心動揺計と同等の精度を持っていることが示された。
3.健患支持率は術前73.5%,歩行訓練開始時平行棒内79.0%,松葉杖開始時82.5%,機能訓練終了時では,ステッキで88.4%となった.歩行スタンス幅と歩行速度は安静度がすすむに従って有意さをもって大きくなっていた。患側/健側支持率は有意ではないが増加し,患側への荷重が増加傾向となった.
4.筋力変化において多くの症例が術後2週前後で術前値の80%程度まで回復を認め、その後数ヶ月にわたり徐々に増強する傾向を認めた。現在の術後プログラムは3週間で退院の設定であるが、退院時においては術前の筋力程度までほぼ回復しているといえる。
結論
本システムは、術後の自由歩行、階段昇降など従来歩行解析できない状態で患者の重心動揺性、歩行速度、患側支持率、スタンス幅などを正確に計測できるため、リハビリテーションをすすめる上での指標となる可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-05-11
更新日
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