超音波を用いた骨粗鬆症における骨強度評価装置の開発

文献情報

文献番号
200500333A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を用いた骨粗鬆症における骨強度評価装置の開発
課題番号
H17-長寿-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大西 五三男(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学医学部附属病院 整形外科・脊椎外科 )
  • 土肥 健純(東京大学大学院情報理工学系研究科)
  • 佐久間 一郎(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
14,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はエコートラッキング法を応用し、骨の変位や歪を測定し骨粗鬆症含む易骨折性を有する疾患の骨折リスクを,非侵襲且つ高精度に定量評価できる診断装置の開発を目的とする。この研究により,高齢者の骨折リスクを簡便に正確に且つ安価に評価出来ることで個々の患者により適切な予防法を早期に講じ、骨折患者数を減らすことが期待できる。
研究方法
骨の微小な変形を計測するために非侵襲な計測が可能な超音波を利用し、さらに微小変位計測法として超音波エコートラッキング法を応用した。日常生活動作にて生ずる微小な骨の変形・歪を非侵襲に高精度に検出することにより、骨強度を判定し骨折リスクを評価する。基礎研究として、ET法による測定システムを改良し骨計測用に同時に多数点でET測定が可能なものとした。このシステムを用い豚脛骨の両自由端による3点曲げ試験を行い骨表面の変形を多点計測によるET測定し,測定スパン上に歪ゲージを貼付し測定軸上の歪との関係を調べた。また,ET計測による粘弾性計測の精度検証実験を行った。5つの異なる粘性を有する材料を用い粘弾性測定装置とET計測による粘性値の評価を行った。
 続いて,臨床測定を行った。健常ボランティア25名の脛骨にて測定を行い荷重に対する骨の変形の検出が可能であるか検討を行った。測定は脛骨の3点曲げとし、脛骨骨幹部直上より25Nの荷重を加えた。この荷重による骨の変形を荷重部の近位・遠位に設置した2つのプローブにより計測を行い変形角度を測定した。また、骨の剛性変化をET測定により検出可能であるかを検討するために骨折症例において経時測定を行った。
結果と考察
基礎実験の複数点計測では、骨表面の変形を歪ゲージの実測値と5 %以内の精度で一致した。粘弾性測定実験では、ET法による測定と粘弾性測定装置の粘性値は非常に高い相関が得られた。
臨床測定では健常ボランティア脛骨3点曲げ測定にて,0.075 から0.18 度の変形角が取得可能であった。骨折症例の測定ではET計測により得られた変形角度は指数関数的に減少が見られ健常側の変形角度に近づき剛性変化が検出可能であった。
結論
基礎・臨床においてET法により骨のMechanical Propertyを非侵襲に高精度に検出可能であることが確かめられ骨粗鬆症など易骨折性を有する疾患の骨強度測定の可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-29
更新日
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