健康長寿に関与する要因の研究-超百寿者及び長寿sib調査

文献情報

文献番号
200500332A
報告書区分
総括
研究課題名
健康長寿に関与する要因の研究-超百寿者及び長寿sib調査
課題番号
H17-長寿-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 信義(慶応義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三木 哲郎(国立大学法人愛媛大学 医学部)
  • 権藤 恭之(東京都老人総合研究所 福祉と生活ケア研究チーム)
  • 小島 俊男(理化学研究所 比較システム解析研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
19,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
急速に進行する高齢社会を迎えて、健康長寿は個人的にも社会的にも強く望まれている。健康長寿のモデルである百寿者を対象に包括的な調査を行い、健康長寿に関連する遺伝素因、環境要因を明らかにすること、海外百寿者との詳細な比較を行い普遍的な加齢現象と地域的な加齢現象を明らかにすることが本調査の目的である。
研究方法
2000年より2002年に東京都23区在住100歳以上者のうち住所の判明した1194名に調査勧誘の手紙を送った。調査協力を承諾した百寿者にアンケートを送り、生活歴、現病歴、既往歴、内服薬、ADL、性格などを調べた。さらに訪問調査に同意した百寿者については医師、看護師、心理学士による訪問調査を行い、1)身体測定、2)理学所見、3)採血、4)病歴の確認、5)認知機能(MMSEおよびCDR)、6)ADL(Barthel Index)の確認などを行った。これらのデータをクリーニングし、予後調査を行い、海外百寿者との比較が可能なデータベースの構築を行った。
結果と考察
百寿者は従来健康長寿のモデルと考えられていたが、機能を見ると認知症がなく自立しているものは20%であった。現病歴がないものは5%弱であり、糖尿病の罹患率は6%と低かった。日本人の3大死因である脳卒中、心疾患、癌に100歳までならなかった割合は61%であった。百寿者の機能に影響を与える疾患は、脳卒中と骨折でいずれも負の影響を示した。百寿者ではアデイポネクチンの高値が認められ、パラメーターとの相関からアデイポネクチンは百寿者では抗炎症、抗動脈硬化、抗糖尿病作用を示すことが示唆された。愛媛県下の一般地域住民を対象とし、既報の動脈硬化性疾患感受性遺伝子多型を年齢階層別に比較検討することで、当該遺伝子多型と健康長寿との関連を探った。加齢に伴い、動脈硬化性マーカーは、有意に増加したが、解析した遺伝子多型の頻度に変化は認められなかった。遺伝と長寿については長寿家系と非長寿家系の百寿者が存在することが判明した。
結論
以下の点が示唆された。1)百寿者ではなく超百寿者が健康長寿モデル、2)長寿達成には生活習慣病にならないことが重要であるが、3)100歳時の機能を保つためには脳卒中と骨折の予防が重要である
また遺伝素因に強い長寿者を対象に高密度SNPによる関連解析と長寿家系を利用した連鎖解析を重ね合わせることにより長寿遺伝子が同定できるものと考える。

公開日・更新日

公開日
2006-04-06
更新日
-