老化関連遺伝子klothoによるカルパイン活性制御機構の解明および関連疾患の予防と治療に関する研究

文献情報

文献番号
200500326A
報告書区分
総括
研究課題名
老化関連遺伝子klothoによるカルパイン活性制御機構の解明および関連疾患の予防と治療に関する研究
課題番号
H17-長寿-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 玉夫(財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
klotho変異マウスは多彩な老化症状を呈することから、klotho遺伝子が老化の制御に深く関与することが考えられている。我々はこれまでに、klotho変異マウスの腎臓と肺におけるμ-calpainの異常活性化と、その内在性阻害物質であるcalpastatinの消失を明らかにし、μ-calpainによる細胞骨格系の分解が腎および肺障害の原因であることを示してきた。最近、klotho蛋白質にβ-グルクロニダーゼ活性があることが報告され、klotho蛋白質が糖分解酵素として機能している可能性が示唆された。しかし、klotho蛋白質の生体内における糖分解酵素としての具体的な作用点や基質に関してはほとんど分かっていない。そこで、klotho遺伝子の変異によって生じる糖鎖変化を網羅的に解析し、klotho蛋白質と糖鎖の関係について検討した。
研究方法
野生型マウス、klotho変異マウスの各臓器から膜画分蛋白質を調製した。各種抗糖鎖抗体及びレクチンを用いて、ウェスタンブロット、レクチンブロット、ELISA等の方法により糖鎖及び糖蛋白質を検出し、反応性の違いを比較検討した。
結果と考察
klotho変異マウスの肺で野生型に比較して顕著に増加しているプロテオグリカン糖鎖があることが分かった。このことから、klotho蛋白質は肺においてこのプロテオグリカン糖鎖の合成や分解に関与することが考えられ、このプロテオグリカン糖鎖が、肺におけるklotho蛋白質の標的(基質あるいは結合糖鎖)であることが示唆された。一方、腎臓でも野生型に比較して変異型で顕著に増加している糖鎖が検出された。この糖鎖は肺で増加していた糖鎖とは異なっていた。このことから、klotho蛋白質には腎臓でこの糖鎖修飾を阻害、あるいは糖鎖を切断する働きがあり、この糖鎖がklotho蛋白質の腎臓における標的(基質あるいは結合糖鎖)であることが考えられる。今回糖鎖異常が検出された肺と腎臓ではμ-calpainの異常活性化により著しく組織が障害される。このことから、μ-calpainの活性化に糖鎖異常が関連する可能性がある。
結論
klotho蛋白質が肺と腎臓における糖鎖修飾に関与することが示され、klotho蛋白質の標的となる糖鎖を見いだした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-04
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
-