モノアミン系の加齢変化とうつ病の解明・予防に関する研究

文献情報

文献番号
200500323A
報告書区分
総括
研究課題名
モノアミン系の加齢変化とうつ病の解明・予防に関する研究
課題番号
H17-長寿-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
城川 哲也(日本福祉大学情報社会科学部人間福祉情報学科)
研究分担者(所属機関)
  • 磯部 健一(名古屋大学大学院医学系研究科微生物・免疫学講座)
  • 小阪 憲司(日本福祉大学情報社会システム研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではノルアドレナリン(NA) 系およびセロトニン(5-HT)系の加齢変化およびその相互作用の解析に加え,マウス加齢脳を用いた関連遺伝子の解析,ヒト加齢脳を用いた関連遺伝子の発現の検索を行う.NA系と5-HT系の相互作用に着目し,中高年者のうつ病の機序の解明と予防法の開発を目指す.
研究方法
1)ラット青斑核よりNAニューロン,縫線核より5-HTニューロンを記録し,前頭葉に投射する神経終末の加齢変化を主に電気生理学的に解析した.
2)マウスのうつモデルを作製し,前頭葉,海馬,扁桃核におけるトリプトファン、キヌレニン、5-HTの測定を行った.
結果と考察
1)モノアミン神経終末の相互作用が17月齢を中心に見られ,特異的神経毒により変性した5-HT神経終末に対して抗うつ薬 maprotiline が5-HT終末の再生を促進することが確認された.
2)いずれの脳部位においても5-HTおよびキヌレニン濃度の上昇が確認された.後者は炎症性ストレスによってトリプトファンから合成されることから,同じくトリプトファンから合成されるセロトニンの合成が炎症性ストレスの影響を受けることが示唆された.
結論
1)5-HT神経終末の再生が,抗うつ薬でもあるNA取り込み阻害薬 maprotiline の投与によって促進されたことから,うつ病の回復にNA系から5-HT系への働きかけが重要な役割を果たしている可能性が示唆された.
2)うつモデルマウス脳における5-HTおよびキヌレニン代謝の分析から,うつの発症に関与する関連酵素の動態が明らかになった.

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-