文献情報
文献番号
200500316A
報告書区分
総括
研究課題名
合併症発症進展を見据えた糖尿病食事療法の開発推進に関する研究
課題番号
H15-長寿-021
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
清野 裕(関西電力病院)
研究分担者(所属機関)
- 山田 祐一郎(京都大学 大学院 医学研究科)
- 幣 憲一郎(京都大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
11,682,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病は、食事療法・運動療法・薬物療法が治療の柱であるが、特に食事療法の重要性は高い。食事と消化管ホルモン・インスリン分泌、さらにはインスリン分泌能とインスリン抵抗性の関連を明らかにすることによって、合併症発症進展を見据えた糖尿病食事療法の開発推進を目指している。
研究方法
2型糖尿病患者に対して、年齢、性別、罹病期間、家族歴、治療歴などの患者背景、身長、体重、ウエストヒップ比などの身体所見、血糖、HbA1C、インスリン値、Cペプチド値、血清脂質などの一般的な血液検査所見、眼科診、尿中微量アルブミン、振動覚、頚動脈中膜内膜肥厚などの糖尿病細小血管ならびに大血管合併症の検索、グルカゴン負荷試験によるインスリン分泌能の評価など、調査・データ収集を行った。また、エネルギー451kcal、蛋白17.2g、脂質16.6g、炭水化物57.6gの基準食を用い、経時的に血糖、インスリン、Cペプチド、GIP(gastric inhibitory polypeptide)、GLP1(glucagon-like peptide-1)ならびに中性脂肪を測定した。
結果と考察
日本人2型糖尿病の病態は膵島量により強く影響を受けている。新たに考案したインスリン分泌能の指標SUITを用いて糖尿病症例を分類し、血糖コントロールにインスリン注射が必要な確率の高いSUIT 50未満を膵島不足群、インスリン注射が不要である確率が高い50以上を膵島充足群とした。基準食の摂取前後の血糖上昇についてみると、糖尿病膵島不足群では血糖の上昇が顕著で糖尿病膵島充足群に比し、有意に高値であった。また、中性脂肪については、糖尿病膵島充足群で高値を示した。すなわち、糖尿病のうち膵島不足群では、インスリン分泌不足によって高血糖を示す。一方、糖尿病の膵島充足群はインスリンの作用障害のため、高中性脂肪血症を示すことを示した。
結論
インスリン分泌障害を主体とした糖尿病症例には、高エネルギー高炭水化物を避けながら適度(25~30%)な脂肪を含有したインスリン分泌が亢進する食事、インスリン抵抗性を主体とした糖尿病には、高エネルギー高脂肪を避け炎症を惹起しない比較的炭水化物の多い食事が必要である。この両者の病態を個々の症例で的確に鑑別するとともに、それぞれ消化管ホルモン分泌が亢進する食事、低下する食事であることを明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2006-04-28
更新日
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