保育所における低年齢児の集団適応に関する研究    

文献情報

文献番号
199700029A
報告書区分
総括
研究課題名
保育所における低年齢児の集団適応に関する研究    
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
民 秋言(白梅学園短期大学教授)
研究分担者(所属機関)
  • 大嶋恭二(東洋英和女学院大学)
  • 佐藤牧人(東京都練馬高等保育学院)
  • 大豆生田啓友(関東学院女子短期大学)
  • 小松歩(白梅学園短期大学)
  • 粂幸男(名古屋市立大学)
  • 野澤正子(大阪府立大学)
  • 倉戸直実(浪速短期大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生行政科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「緊急保育対策等五か年事業」の策定のねらいによれば、「(?)緊急に整備することが求められている低年齢児保育や延長保育等の多様な保育サービスを飛躍的に拡充」とあり、整備目標等として低年齢児(0~2歳)保育45万人⇒60万人(11年度)となっており、今後も0歳児の増加が予想される。また、低年齢児の入所の時期、形態も多様化している。低年齢児は、集団保育をうける際パニック状態に陥ることがあり、保育にあたっての特段の配慮がのぞまれる。この研究は新しく集団にはいる低年齢児(とくに0歳児)の保母への慣れや、集団適応の過程等を明らかにし、適切な保育処遇方法を考察するものである。
研究方法
(1)低年齢児の保育について研究するチーム「現代保育問題研究会」(代表 白梅学園短期大学教授民秋言)を設ける。
(2)研究基本方針の決定、研究方法の検討、アンケート内容の検討、観察内容並びに面接聴取内容の検討、研究対象地区並びに対象園の決定、実践調査の実施方法などの決定。
(3)実態調査研究対象地区を全国域20か市区に設定。その地区所在の低年齢児(とくに0歳児)保育実施園を公立私立各およそ10か園を選定。
(4)アンケート調査、観察並びにビデオ撮影、そして面接聴取調査の実施。
(5)上記20か市区保育行政担当者に面接聴取調査の実施。
(6)当該テーマの研究者並びに保育実践者から講義をうける。
(7)収集資料の整理、分析、検討
(8)まとめ。報告書の作成。
結果と考察
(1)低年齢児の保育について研究するチーム「現代保育問題研究会」を設け、調査研究の方法を決め、実態調査を実施し、その結果をまとめ、それについて考察を行った。
(2)実態調査のために、地域的特性をもとに全国域にまたがっての20か市区の調査対象地区を設定した。さらにその調査地区のなかで当該テーマ「低年齢児(0歳児)保育」を実践する公立・私立園を選び調査対象とした。
(3)対象地区の行政担当者から「低年齢児(0歳児)保育」の実態と課題を聴取り、関連資料を収集。 (4)「低年齢児(0歳児)保育」実施園で園長と担当保母から実態と課題を聴取り、関連資料を収集。
(5)上記対象園の「低年齢児(0歳児)保育」の実践をビデオ撮影した。
(6)収集資料、データなどを6つの視点(申請書による)に注目しつつ、つぎの項目ごとに整理・検討・分析した。?送迎時の親と子どもの様子、保育者の対応?食事、睡眠、排泄、遊び(集団適応の実態)?保育時間と勤務時間?0歳児の受け入れ月齢?0歳児保育の妥当性?担当の留意点?保護者の対応・意見。
本研究は0歳児保育を実施している園の園長並びに0歳児保育担当者(クラス担任)を直接の対象としてのアンケート調査結果の分析である。
上記のような調査結果をふまえてそれぞれの内容を総括的に考察すれば、?園長の指摘する「保育園での0歳児保育の意義」と保育担当者がいう。?「遊びについての留意点」?「0歳児保母の専門性」に本研究のまとめが得られるようである。
?保育園での0歳児保育を実施する園の園長は
70%余りが「子どもの育ちにとって大いに意義がある」と「どちらかといえばある」との「意義あり」と答えている。その保育にはさまざまな課題があるが、園の担うべき役割として積極的に取り組みの姿勢を示しているのである。
?ついで保育担当者は「遊びについての留意
点」で「保母との関わりを楽しいと感じさせる」をもっとも大切なものと指摘する。すなわち、本研究のテーマ「集団適応」のためには「保母との関わり」がとりわけ留意すべき点となるのである。
?最後に、0歳児を保育するときに保母に求め
られる専門性について述べる。いま担当している保母によってより強く「必要」とされていることは「0歳児の発達課程・発達段階の理解」である。すなわち発達論をしっかり習得していることが一番の専門性といえよう。
結論
「保育所における低年齢児(とくに0歳児)の集団適応」に関しての研究成果はわれわれにさまざまな問題を指摘し、課題を提起した。それは制度上の整備にはじまり保育内容の充実、そして保母の専門性にまで至っている。今後、これからをふまえ「0歳児の集団適応」について具体的に実践的検討と提案を続けていくつもりである。

公開日・更新日

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研究報告書(紙媒体)