高レムナントリポ蛋白血症に合併する虚血性心疾患および脳梗塞の予防・治療法確立のための大規模臨床研究

文献情報

文献番号
200500315A
報告書区分
総括
研究課題名
高レムナントリポ蛋白血症に合併する虚血性心疾患および脳梗塞の予防・治療法確立のための大規模臨床研究
課題番号
H15-長寿-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
久木山 清貴(山梨大学大学院医学工学総合研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 北 徹(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松澤 佑次(住友病院)
  • 齋藤 康(千葉大学 大学院医学研究科)
  • 今泉 勉(久留米大学 医学部)
  • 横山 光宏(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 多田 紀夫(東京慈恵会医科大学 附属柏病院)
  • 田中 明(関東学院大学 人間環境学部)
  • 代田 浩之(順天堂大学 医学部)
  • 山下 静也(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 池脇 克則(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 橋本 洋一郎(熊本市民病院)
  • 米原 敏郎(済生会熊本病院)
  • 寺田 信幸(東洋大学 工学部)
  • 比江島 欣愼(東京医療保健大学 医療保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
19,497,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高レムナントリポ蛋白血症を治療することで動脈硬化性心血管病の発症を予防できるのか、そして最適な脂質低下薬は何かという検討は未だなされていない。よって、大規模多施設臨床的治験に基づいたエビデンスを収集し、高レムナントリポ蛋白血症に合併する心血管病に対する適正な予防・治療手段を確立することが、本研究の目的である。
研究方法
平成15年度から進行中の2つの前向き調査および介入試験を引き続き遂行する。1. 脳梗塞の再発における高レムナントリポ蛋白血症の関与を明らかにするための前向き追跡調査。2-1. 高レムナントリポ蛋白血症に合併する虚血性心疾患の進展・再発予防に関する前向き追跡ランダム化比較試験。高レムナントリポ蛋白血症に合併する心血管病に対し、代表的な脂質低下剤であるHMGCoA還元酵素阻害剤とフィブラート剤のどちらが有効であるかに関して大規模前向きランダム化比較臨床試験にて検討する。2-2. コレステロール以外の高レムナントリポ蛋白血症を含む脂質代謝異常の動脈硬化性心血管病における臨床的意義の解明。
結果と考察
1. 脳梗塞342例の登録を平成17年2月末までに行った。予定通り平成17年度末を症例登録の締め切りとする。登録後約2年間前向きに調査する。登録された脳梗塞例の臨床プロフィールの解析結果から、血中レムナントリポ蛋白濃度が脳梗塞例で高いことが明らかとなった。これらの解析から、高レムナントリポ蛋白血症が将来の脳梗塞再発の予知因子であること可能性が高い。2-1. 現在276例の症例が登録されフォローアップ中であり、その内107例において登録後6ヶ月経過している。登録症例のプロフィールの解析結果から、2つの治療群間において、治療前の動脈硬化危険因子の有意な差はなく、無作為振り分けが適正に行なわれていることを確認できた。治療開始から6ヶ月後の血中レムナントリポ蛋白値の低下度はベザフィブラート投与群の方がプラバスタチン投与群よりも予想どおりに大きかった。3-2. 高レムナントリポ蛋白血症がメタボリックシンドロームにおける治療標的であることが判明した。
結論
今回の研究にて、高レムナントリポ蛋白血症の虚血性心疾患および脳梗塞における臨床的意義および適切な治療方法が明らかになるとともに、これらの動脈硬化性血管病の予防・治療に関するマニュアルおよびガイドラインの作成時に必要なデータベースまたはエビデンスとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500315B
報告書区分
総合
研究課題名
高レムナントリポ蛋白血症に合併する虚血性心疾患および脳梗塞の予防・治療法確立のための大規模臨床研究
課題番号
H15-長寿-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
久木山 清貴(山梨大学大学院医学工学総合研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 北 徹(京都大学 大学院医学研究科)
  • 松澤 佑次(住友病院)
  • 齊藤 康(千葉大学 大学院医学研究科)
  • 今泉 勉(久留米大学 医学部)
  • 横山 光宏(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 多田 紀夫(東京慈恵会医科大学 柏附属病院)
  • 田中 明(関東学院大学 人間環境学部)
  • 代田 浩之(順天堂大学 医学部)
  • 山下 静也(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 池脇 克則(東京慈恵会医科大学)
  • 橋本 洋一郎(熊本市民病院)
  • 米原 敏郎(済生会熊本病院)
  • 寺田 信幸(東洋大学 工学部)
  • 比江島 欣愼(東京医療保健大学 医療保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高レムナントリポ蛋白血症を治療することで動脈硬化性心血管病の発症を予防できるのか、そして最適な脂質低下薬は何かという検討は未だなされていない。よって、大規模多施設臨床的治験に基づいたエビデンスを収集し、高レムナントリポ蛋白血症に合併する心血管病に対する適正な予防・治療手段を確立することが、本研究の目的である。
研究方法
以下の3系統の計画で目的を達成する。1. 血液脂質検査、特にレムナントリポ蛋白血液検査の実施状況に関する全国調査。 2. 脳梗塞の再発における高レムナントリポ蛋白血症の関与を明らかにするための前向き追跡調査。3-1. 高レムナントリポ蛋白血症に合併する虚血性心疾患の進展・再発予防に関する前向き追跡ランダム化比較試験。高レムナントリポ蛋白血症に合併する心血管病に対し、代表的な脂質低下剤であるHMGCoA還元酵素阻害剤とフィブラート剤のどちらが有効であるかに関して大規模前向きランダム化比較臨床試験にて検討する。3-2. コレステロール以外の高レムナントリポ蛋白血症を含む脂質代謝異常の動脈硬化性心血管病における臨床的意義の解明。
結果と考察
1. 全国アンケート調査の結果、レムナントリポ蛋白が動脈硬化性心血管疾患の強いリスクであることを多くの医師(85%)が認識しているにもかかわらず、同検査を実施しているのはそのうちの半分以下であることが判明した。2. 登録症例342例のCase-control studyにより、高レムナントリポ蛋白血症が脳梗塞のリスクであることが判明した。前向き調査は引き続き進行中である。3-1. 276例の症例が登録され現在もフォローアップ中である。中間解析の結果、無作為振り分けが適正に行なわれていること、薬剤効果が予想どおりであることを確認することができた。 登録された症例の解析の結果、2つの治療群間において、動脈硬化性心血管病の危険因子の有意な差はなく、無作為振り分けが適正に行なわれていることを確認できた。3-2. 高レムナントリポ蛋白血症がメタボリックシンドロームにおける治療標的であることが判明した。
結論
今回の研究にて、高レムナントリポ蛋白血症の虚血性心疾患および脳梗塞における臨床的意義および適切な治療方法が明らかになるとともに、これらの動脈硬化性血管病の予防・治療に関するマニュアルおよびガイドラインの作成時に必要なデータベースまたはエビデンスとなることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500315C

成果

専門的・学術的観点からの成果
今回の研究にて、高レムナントリポ蛋白血症の虚血性心疾患および脳梗塞における臨床的意義および適切な治療方法が明らかになるとともに、これらの動脈硬化性心血管病の予防・治療に関するマニュアルおよびガイドラインの作成時に必要なデータベースまたはエビデンスとなることが期待される。
臨床的観点からの成果
疫学的調査と平行して行った研究により、高レムナントリポ蛋白血症が様々なサイトカインや成長因子とともにメタボリックシンドロームに合併する心血管病の最も強い独立した危険因子であり、フィブラート系薬剤およびスタチン系薬剤の脂質低下薬投与で改善することが明らかとなった。高レムナントリポ蛋白血症がメタボリックシンドロームの新たな治療標的として重要な病態であることを国内外で最初に明らかにした。

ガイドライン等の開発
レムナントリポ蛋白血液検査の実施状況に関する全国調査の結果から、実地医家におけるレムナントリポ蛋白血液検査の実施率が低いことが把握できた。実施率をあげるための方策も明らかとなった。脳梗塞に関する前向き調査および虚血性心疾患に関する介入試験は引き続き継続中であるが、これらの結果は高レムナントリポ蛋白血症に対する診断・治療・予防に関するマニュアルおよびガイドライン作成時のデータベースとして供することができる。
その他行政的観点からの成果
高レムナントリポ蛋白血症の虚血性心疾患および脳梗塞における臨床的意義およびその治療方法が確立されるとともに、これらの心血管病の予防・治療に関するガイドラインの作成時に必要なエビデンスとなる。高レムナントリポ蛋白血症の検査・治療の診療実態調査の結果は、作成したガイドラインに基づいて検査・治療の適正化への対策を立てる際に、厚生労働行政上の観点から重要なデータベースとなる。国民の保健・医療・福祉の向上のみならず医療費の軽減にもつながる。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
59件
原著論文(英文等)
110件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
23件
学会発表(国際学会等)
29件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kodama Y, Kugiyama K, et al.
Atorvastatin increases plasma soluble fms-like tyrosine kinase-1 and decreases vascular endothelial growth factor and placental growth fator in association with improvement of ventricular function in acute myocardial infarction.
Journal of the American College of Cardiology  (2006)
原著論文2
Fujioka D, Kugiyama K, et al.
Role of adiponectin receptors in endothelin-induced cellular hypertrophy in cultured cardiomyocytes and their expression in infarcted heart.
Am J Physiol Heart Circ Physiol.  (2006)
原著論文3
Nakamura T, Kugiyama K, et al.
Triglycerides and remnant particles as risk factors for coronary artery disease.
Current Atheroscler Rep. , 8 (2) , 107-110  (2006)
原著論文4
Koga H, Kugiyama K, et al.
Elevated levels of remnant lipoproteins are associated with plasma platelet microparticles in patients with type-2 diabetes mellitus without obstructive coronary artery disease.
Eur Heart J. , 27 (7) , 817-823  (2006)
原著論文5
Kitta Y, Kugiyama K, et al.
Endothelial vasomotor dysfunction in the brachial artery is associated with late in-stent coronary restenosis.
J Am Coll Cardiol. , 46 (4) , 648-655  (2005)
原著論文6
Nakamura T, Kugiyama K, et al.
Remnant lipoproteinemia is a risk factor for endothelial vasomotor dysfunction and coronary artery disease in metabolic syndrome.
Atherosclerosis. , 181 (2) , 321-327  (2005)
原著論文7
Ichigi Y, Kugiyama K, et al.
Increased ambulatory pulse pressure is a strong risk factor for coronary endothelial vasomotor dysfunction.
J Am Coll Cardiol. , 45 (9) , 1461-1466  (2005)
原著論文8
Ikewaki K, et al.
Delayed in vivo catabolism of intermediate-density lipoprotein and low-density lipoprotein in hemodialysis patients as potential cause of premature atherosclerosis.
Arterioscler Thromb Vasc Biol. , 25 (12) , 2615-2622  (2005)
原著論文9
Tada N, et al.
Effects of diacylglycerol ingestion on postprandial hyperlipidemia in diabetes.
Clin Chim Acta. , 353 , 87-94  (2005)
原著論文10
Ikewaki K, et al.
Effects of bezafibrate on lipoprotein subclasses and inflammatory markers in patients with hypertriglyceridemia--a nuclear magnetic resonance study.
Int J Cardiol. , 101 (3) , 441-447  (2005)
原著論文11
Miyazawa-Hosimoto S, Saito Y, et al.
Roles of degree of fat deposition and its localization on VEGF expression in adipocytes.
Am J Physiol Endocrinol Metab. , 288 (6)  (2005)
原著論文12
Chan DC, Yamashita S, et al.
Adiponectin and other adipocytokines as predictors of markers of triglyceride-rich lipoprotein metabolism.
Clin Chem. , 51 (3) , 578-585  (2005)
原著論文13
Okazaki M, Yamashita S, et al.
Identification of unique lipoprotein subclasses for visceral obesity by component analysis of cholesterol profile in high-performance liquid chromatography.
Arterioscler Thromb Vasc Biol. , 25 (3) , 578-584  (2005)
原著論文14
Iida T, Kugiyama K, et al.
Blunted reduction of pulse pressure during nighttime is associated with left ventricular hypertrophy in elderly hypertensive patients.
Hypertens Res. , 27 (8) , 573-579  (2004)
原著論文15
Nakagawa K, Kugiyama K, et al.
Correlation of plasma concentrations of B-type natriuretic peptide with infarct size quantified by tomographic thallium-201 myocardial scintigraphy in asymptomatic patients with previous myocardial infarction.
Circ J. , 68 (10) , 923-927  (2004)
原著論文16
Fukushima H, Kugiyama K, et al.
Prognostic value of remnant-like lipoprotein particle levels in patients with coronary artery disease and type II diabetes mellitus.
J Am Coll Cardiol. , 43 (12) , 2219-2224  (2004)
原著論文17
Honda O, Kugiyama K, et al.
Echolucent carotid plaques predict future coronary events in patients with coronary artery disease.
J Am Coll Cardiol. , 43 (7) , 1177-1184  (2004)
原著論文18
Nakamura S, Kugiyama K, et al.
Polymorphism in glutamate-cysteine ligase modifier subunit gene is associated with impairment of nitric oxide-mediated coronary vasomotor function.
Circulation. , 108 (12) , 1425-1427  (2003)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-