入院医療と在宅ケアの連携の在り方に関する調査研究

文献情報

文献番号
200500312A
報告書区分
総括
研究課題名
入院医療と在宅ケアの連携の在り方に関する調査研究
課題番号
H16-長寿-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池上 直己(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院と在宅の機関の連携を図る上で、入院医療と在宅における居宅サービスをつなぐ訪問看護師、介護支援専門員に着目し、病棟看護師との連携を強化すると同時に、両者を介して病院と在宅それぞれの主治医の連携、他の居宅サービス事業者との連携を円滑に進めるため、入院した直後から退院時に向けて適切なケアを提供するための方法を確立し、さらにそのマニュアル化を目指す。
研究方法
(1)3つの急性期病院(対象7病棟、399床)を対象として、65歳以上の患者の入院前から退院時までの状態等の把握調査
(2)病棟看護師に対する患者の状態変化の把握に関するヒアリング調査
(3)退院後に居宅サービスを利用する患者の看護添書をサービス提供事業所に提供し、計画作成に役立ったかのアンケート調査
(4)退院後在宅サービスを利用する患者の継続的なケアを実施するために、在宅アセスメント(MDS-HC)と共通項目のあるMDS-AC(Minimum Data Set-Acute Care)により対象者の潜在ニーズを把握できるかの検証
結果と考察
(1)退院した65歳以上の患者153人のうち在宅に帰ったのは118人で、そのうち在宅サービスの「利用あり」が31人、「利用なし」が87人であった。サービス利用者の多くが入院前にサービスを利用しており、医療ニーズがあっても必ずしも退院後にサービスを利用していないことが分かった。
(2)病棟看護師による患者の状態変化の把握は、「入院中のケアに役立つ」等の肯定的な評価がある一方、家族に対する退院の説明材料としては「あまり関係がない」と「改めて家族との情報交換が重要と感じた」と意見が分かれた。
(3)看護添書に記載された項目について介護支援専門員等にアンケート調査した結果、13事業所より計23件の回答を得た。役立ったと思う項目には、「診断名」「入院中の経過」「患者家族の受け止め方」等が挙げられたが、「患者家族の受け止め方」については、記入件数が少なく、今後の連携にあたっての課題の1つと考えられた。
(4)MDS-ACにより対象者の潜在ニーズを概ね把握できることが確認されたが、一部修正の必要がある。
結論
 3年目には、居宅サービス事業所等から病院への情報提供として、悪化前の定常的な状態や家族の介護上の課題に関する情報を記載した在宅添書を新たに作成し、連携マニュアルとともにその有効性を検証する。なお、東京、鹿児島、札幌の12病院を対象とし、マニュアルの定着を図るため、要支援・要介護の高齢者のみを対象とする。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
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