文献情報
文献番号
200500298A
報告書区分
総括
研究課題名
介護予防を目的とする基本健康診査標準方式を策定するための疫学的研究
課題番号
H16-長寿-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
安田 誠史(高知大学医学部公衆衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,990,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
基本健康診査を介護予防に有効なものとするために必要な、身体、精神、社会的機能測定および血液検査の項目を検討した。測定値の区分値を、縦断研究で要介護認定発生リスク比を観察した結果に基づき決定した。身体機能低下者に対する運動指導と認知機能低下者に対するグループワークを効果的に実施するための課題を検討した。
研究方法
介護保険非該当高齢者6,174人からの新規要介護認定発生リスクを計測した。各測定項目との関連を、性、年齢の影響を調整して検討した。身体機能低下者に対する運動指導と、認知機能低下者に対するグループワークの効果を、比較対照試験によって検証した。
結果と考察
客観的機能測定では、握力、アップ&ゴーテスト、Mini-mental state examination(MMS)の3項目が、要介護認定発生の予知因子であり、区分値には、握力では下位25パーセンタイル値、アップ&ゴーテストでは下位17パーセンタイル値、MMS7項目版では11点を用いることが適切と考えられた。長座位立ち上がり時間は、妥当性、信頼性がある検査で、概ね5秒以上か測定を実施できない場合に要介護発生リスクが著しく高かった。質問紙調査項目では、過去1年間の入院経験、転倒経験、前屈動作困難感、高齢者うつ調査票、老研式活動能力指標、外出頻度、物忘れの日常生活への影響に関して要介護発生との関連を検討でき、高齢者うつ調査票と外出頻度以外の項目に予測妥当性が認められた。血液生化学検査では、男で血清アルブミン低値が高い要介護認定発生リスクに関連しており、4.0g/dL未満が要指導域と考えられた。
筋力向上運動は歩行機能の改善に、グループワークは認知機能の改善に効果があったが、介入期間終了後はどちらの改善も消失していた。介入プログラムを継続して実施するように支援すること、また、機能の客観的測定値の改善だけでなく、介入前に、生活動作に係わる目標を設定し、その目標達成を支援することが大切だと考えられた。
筋力向上運動は歩行機能の改善に、グループワークは認知機能の改善に効果があったが、介入期間終了後はどちらの改善も消失していた。介入プログラムを継続して実施するように支援すること、また、機能の客観的測定値の改善だけでなく、介入前に、生活動作に係わる目標を設定し、その目標達成を支援することが大切だと考えられた。
結論
客観的機能測定では握力、アップ&ゴーテスト、MMSが、質問紙調査では、老研式活動能力指標、物忘れの日常生活への影響などが、要介護認定発生に関する予測妥当性を有していた。介護予防事業を効果的に行うために、介入の継続実施と、生活動作に係わる目標の達成を支援する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2006-04-29
更新日
-