老年病の発症に関わる遺伝―環境ネットワークの解明

文献情報

文献番号
200500281A
報告書区分
総括
研究課題名
老年病の発症に関わる遺伝―環境ネットワークの解明
課題番号
H17-長寿-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
三木 哲郎(国立大学法人愛媛大学医学部 老年医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小原 克彦(国立大学法人愛媛大学医学部 老年医学講座 )
  • 名倉 潤(国立大学法人愛媛大学医学部附属病院)
  • 田原 康玄(国立大学法人愛媛大学医学部 統合医科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、老年病の発症に関わる遺伝-環境ネットワークを解明し、ひいては老化の予防・遅延を達成することで、長寿科学の発展と健康余命の確保に貢献することを目的とする。
研究方法
愛媛県下で収集した一般地域住民(約3000例)由来のサンプルを用い、老年病や生活習慣病の発症に関する遺伝因子を、環境因子や多の遺伝因子との交互作用を踏まえながら探索した。疾患発症までのネットワークを解明するために、中間形質としてインスリン抵抗性を設定し、同様に感受性遺伝子を探索した。遺伝-遺伝交互作用を探索する方法として、近年開発されたMDA法を用いた。対象者のDNAは末梢血より抽出し、遺伝子多型はTaqManプローブ法で解析した。一般臨床検査所見は住民健診等の成績を利用するとともに、インスリン抵抗性に関する血液マーカーについては独自に測定した。一連の研究は、愛媛大学医学部倫理審査委員会の承認を得て行った。
結果と考察
WRN遺伝子のC1367A多型とならびにEDN2遺伝子A985G多型は、種々の共変量や環境因子との交互作用を含めて検討しても、血圧値や高血圧とは相関しなかった。アンジオテンシン変換酵素I/D多型、アンジオテンシノーゲンM235T多型、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素C677T多型、Gタンパク質β3サブユニットC825T多型、Gタンパク質αサブユニットT393C多型についてインスリン抵抗性(HOMA指数、アディポネクチン、高感度CRP)との関連を検討したが、いずれも有意な相関は認められなかった。従前の検討で得られた3つの高血圧感受性遺伝子多型についてMDR法で再解析したところ、2つの遺伝子多型間に交互作用が認められ、その有意水準は各遺伝子多型単独での検討より1桁小さかった。
結論
より多くの遺伝子について、遺伝-環境あるいは遺伝-遺伝相互作用を踏まえた感受性遺伝子探索を行い、疾患発症のゲノムネットワークを解明していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-