内視鏡的脳神経手術用超小型レーザースキャナーの開発

文献情報

文献番号
200500262A
報告書区分
総括
研究課題名
内視鏡的脳神経手術用超小型レーザースキャナーの開発
課題番号
H16-トランス-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 洋一(東北大学先進医工学研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 伊関 洋(東京女子医科大学大学院医学研究科先端工学外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
34,676,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
悪性脳腫瘍を脳外科手術により切除した場合の5年生存率は、摘出率が95%から100%に近づくにつれ劇的に向上することが報告されている。しかし周辺の正常組織を傷つけずに精密に3次元的に除去することが難しい。さらに脳深部に腫瘍が存在する場合や、開頭部が小さい場合にはより手技が難しくなる。これらの要求を満たすため、体内において小さなレーザービームスポットを作り、そのスポットを自由に位置合わせする内視鏡的マイクロレーザースキャナーの開発を目指している。スキャナープローブには、小さなビームスポットを作るためのマイクロレンズと、体内においてビームスポットを自由に位置合わせできるようにする、圧電カンチレバーとシリコン製ミラーによる2次元スキャンニング機構が内蔵されている。また、内視鏡の鉗子孔を通して患部に自在にアプローチできるようにするために外径3 mm以下の円筒内にパッケージングする。
研究方法
本年度は、以下について研究開発を行った。1) 2次元マイクロスキャナーの試作とその作製歩留まりの向上、2) Er:YAGレーザーを用いた顕微内視鏡下での動物実験による照射条件の最適化、3) 動物実験を行うための2次元マイクロスキャナーのパッケージング、4) 作製したマイクロスキャナーの特性評価、5) OCT(光コヒーレンストモグラフィー)によるレーザー照射組織下部血管描出システムの立ち上げ
結果と考察
動物実験用にパッケージング試作した2次元マイクロスキャナーにおいて、KTPレーザーを反射して2次元のスキャンニングを行うことができた。さらにスキャンニング精度などの動作確認を行った。Er:YAGレーザーを用い良好な脳組織蒸散を確認できた。

結論
体内において治療用レーザーを微小な照射スポットで、精密な照射位置決めをしながら照射することで、従来では不可能だった数十から数百μmの分解能をもった脳腫瘍の除去など精密な脳神経レーザー手術を可能にする。今回の試作により動物実験後に速やかな臨床応用ができる見通しを立てることができた。なお、脳腫瘍組織と正常組織の判別には、可視光観察の他に、腫瘍組織に選択的に集積する5-ALAを利用した蛍光観察を利用する。さらに、レーザー照射部の下に隠れた血管へのレーザー照射を避け、出血を未然に防ぐために、深さ方向の3次元観察を可能にするOCT観察を利用する。

公開日・更新日

公開日
2006-05-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200500262B
報告書区分
総合
研究課題名
内視鏡的脳神経手術用超小型レーザースキャナーの開発
課題番号
H16-トランス-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
芳賀 洋一(東北大学先進医工学研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 伊関 洋(東京女子医科大学大学院医学研究科先端工学外科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
悪性脳腫瘍を脳外科手術により切除した場合の5年生存率は、摘出率が95%から100%に近づくにつれ劇的に向上することが報告されている。しかし周辺の正常組織を傷つけずに精密に3次元的に除去することが難しい。さらに脳深部に腫瘍が存在する場合や、開頭部が小さい場合にはより手技が難しくなる。これらの要求を満たすため体内において小さなレーザービームスポットを作り、そのスポットを自由に位置合わせする内視鏡的マイクロレーザースキャナーの開発を目指している。スキャナープローブには、小さなビームスポットを作るためのマイクロレンズと、体内においてビームスポットを自由に位置合わせできるようにする、圧電カンチレバーとシリコン製ミラーによる2次元スキャンニング機構が内蔵されている。また、内視鏡の鉗子孔を通して患部に自在にアプローチできるようにするために外径3 mm以下の円筒内にパッケージングする。
研究方法
体内で精密にレーザー治療する際に要求される、数十度の大きな変位角を実現し、かつ内視鏡の鉗子孔に挿入できる大きさの2次元マイクロスキャナーの開発を目指し、以下について研究開発を行った。1) 2次元マイクロスキャナーの試作とその制御ソフトウェアの開発、2) 顕微内視鏡下での動物実験によるレーザー光源および組織への照射条件の最適化、3) 動物実験を行うための2次元マイクロスキャナーのパッケージング、4) 作製したマイクロスキャナーの特性評価
結果と考察
現在までに試作した2次元マイクロスキャナーにおいて、30°の最大傾き角が得られ、生体に挿入して実験するためのガラスチューブ内パッケージングを行い2次元のスキャンニングを行うことができた。さらにスキャンニング精度などの動作評価を行った。
結論
体内において治療用レーザーを微小な照射スポットで、精密な照射位置決めをしながら照射することで、従来では不可能だった数十から数百μmの分解能をもった脳腫瘍の除去など精密な脳神経レーザー手術を可能にする。今回の試作により動物実験後に速やかな臨床応用ができる見通しを立てることができた。なお、脳腫瘍組織と正常組織の判別には、可視光観察の他に、腫瘍組織に選択的に集積する5-ALAを利用した蛍光観察を利用する。さらに、レーザー照射部の下に隠れた血管へのレーザー照射を避け、出血を未然に防ぐために、深さ方向の3次元観察を可能にするOCT観察を利用する。

公開日・更新日

公開日
2006-06-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500262C

成果

専門的・学術的観点からの成果
体内において小さなレーザービームスポットを作り、そのスポットを自由に位置合わせするマイクロレーザースキャナーを開発した。観察用レーザー光を体内で走査し観察を行うマイクロスキャナーは開発されているが、レーザー治療に必要な、強度が比較的強いレーザーを走査するためのロバストな構造と広い走査角度を持った外径数mmの内視鏡治療デバイスが開発された例はほとんど無く、今回の開発により、その有効性と可能性を具体的に示すことができた。
臨床的観点からの成果
悪性脳腫瘍を外科手術により切除した場合の5年生存率は、摘出率が95%で22.5%、摘出率100%では40.9%まで上昇することが報告されている。脳腫瘍を手術で除去する際に腫瘍周辺の正常組織を傷つけずに精密に3次元的に除去する技術、さらに脳深部に腫瘍が存在する場合や開頭部が小さい場合にも対応できる内視鏡的治療が求められている。今回の開発により、従来よりも分解能の高い精密レーザー治療の有効性と可能性を具体的に示すことができた。
ガイドライン等の開発
特に無し
その他行政的観点からの成果
特に無し
その他のインパクト
日経産業新聞 2005年4月20日 レーザー治療しやすく 東北大 脳手術などに応用へ 新装置、光の向き調節自在
雑誌O plus E Vol. 27, No. 6 (株式会社 新技術コミュニケーションズ), pp. 607-608 O plus E NEWS レーザー治療用マイクロ2次元スキャナー
日経マイクロデバイス 2005年3月号, Challenger, MEMSデバイスを体内に入れメスを使わず“ピン・ポイント”治療

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
3件
学会発表(国内学会)
4件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
芳賀洋一
医療用MEMS
2006 マイクロマシン/MEMS技術大全 , 45-49  (2006)
原著論文2
芳賀洋一, 和田 仁, 江刺正喜 他
低侵襲医療のための光MEMS
レーザー研究 , 33 (11) , 754-760  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-