文献情報
文献番号
200500258A
報告書区分
総括
研究課題名
術中MRI下腹腔鏡下手術システムの確立
課題番号
H16-トランス-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
橋爪 誠(九州大学大学院医学研究院災害・救急医学)
研究分担者(所属機関)
- 掛地 吉弘(九州大学病院第二科)
- 川中 博文(九州大学病院第二科)
- 田上 和夫(九州大学病院先端医工学診療部)
- 家入 里志(九州大学病院先端医工学診療部)
- 村垣 善浩(東京女子医科大学大学院先端生命医科学研究所先端工学外科分野)
- 中島 秀彰(九州大学大学院医学研究院次世代低侵襲治療学)
- 岡崎 賢(九州大学大学院医学研究院次世代低侵襲治療学)
- 小西 晃造(九州大学大学院医学研究院次世代低侵襲治療学)
- 村田 正治(九州大学大学院医学研究院ナノバイオメディスン講座)
- 洪 在成(九州大学大学院医学研究院ナノバイオメディスン講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在のがん治療は、診断技術と治療技術の発展により、術前に得られた診断画像によって手術計画を立て、術中は光学的な内視鏡情報に基づいた腹腔鏡下手術が選択肢の一つとなっている。本研究では、術中MRIを併用した腹腔鏡下手術システムを確立し、術中に得られる診断情報と術中情報の連携による、安全性の一層の向上、がん患者のQOLのさらなる改善を実現することを目的とする。
研究方法
16年度時点で試作したMRI対応内視鏡システムは、テレビモニタがMR画像中へノイズをきたしたことにより、内視鏡映像とリアルタイムMR画像を併用することができなかったが、今年度、シールド処理した液晶モニタと光変換器、ラインフィルタで構成したMR対応映像システムを構築することにより2つの画像情報の併用が可能となり、腹腔鏡下手術と術中MRの有機的な融合が実現した。これらの成果を導入した術中MRI下腹腔鏡下手術の手術プロトコルを作成し、MRガイド下腹腔鏡下ラジオ波焼灼療法に適用し、その有用性を動物実験で確認した。さらに、術中腹部MR撮影として、SPIOを用いた術中リンパ節造影を行い、描出されたリンパ節を内視鏡映像に重畳させることで、腹腔鏡下にリンパ節の局在を確認しながらの切除を可能とした。
結果と考察
16年度時点で試作したMRI対応内視鏡システムは、テレビモニタがMR画像中へノイズをきたしたことにより、内視鏡映像とリアルタイムMR画像を併用することができなかったが、今年度、シールド処理した液晶モニタと光変換器、ラインフィルタで構成したMR対応映像システムを構築することにより2つの画像情報の併用が可能となり、腹腔鏡下手術と術中MRの有機的な融合が実現したと考える。
がん治療において重要なリンパ節廓清であるが、術中にその局在を知ることは困難である。特に腹部臓器の場合、手術操作により位置が大きく動くため、術前の診断情報から、その局在を推定するのは大きな誤差を含んでいる。今回、動物実験的に検証した術中の胃周囲リンパ節造影MRは、術前診断に比べより正確なリンパ節位置の同定が可能になる。さらに、AR技術により内視鏡映像へのリンパ節重畳を実現したことは、腹腔鏡下に行われる癌切除術の精度、および切除範囲の限局による侵襲の低減を可能にすると考える。
がん治療において重要なリンパ節廓清であるが、術中にその局在を知ることは困難である。特に腹部臓器の場合、手術操作により位置が大きく動くため、術前の診断情報から、その局在を推定するのは大きな誤差を含んでいる。今回、動物実験的に検証した術中の胃周囲リンパ節造影MRは、術前診断に比べより正確なリンパ節位置の同定が可能になる。さらに、AR技術により内視鏡映像へのリンパ節重畳を実現したことは、腹腔鏡下に行われる癌切除術の精度、および切除範囲の限局による侵襲の低減を可能にすると考える。
結論
先端CCD方式によるMRI対応内視鏡を開発し、MR対応映像システムの構築、術中MR撮影法の開発により“診断、即治療”を実現する術中MR下腹腔鏡下手術システム環境を構築した。術中診断情報の導入により、腹腔鏡下手術の安全性と精確性の向上が可能であることが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2006-05-02
更新日
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