動脈硬化病変(再狭窄、不安定プラーク)に対する画期的血管内治療システムの創製-霊長類モデル作製から臨床応用まで-

文献情報

文献番号
200500255A
報告書区分
総括
研究課題名
動脈硬化病変(再狭窄、不安定プラーク)に対する画期的血管内治療システムの創製-霊長類モデル作製から臨床応用まで-
課題番号
H16-トランス-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
江頭 健輔(国立大学法人九州大学大学院医学研究院 循環器内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 砂川 賢二(国立大学法人九州大学大学院医学研究院 循環器内科学)
  • 米満 吉和(国立大学法人千葉大学大学院医学研究院 遺伝子治療学)
  • 市来 俊弘(国立大学法人九州大学病院 循環器内科)
  • 北嶋 隆(財団法人 神奈川科学技術アカデミー)
  • 野見山 弘章(川澄化学工業株式会社 研究開発部)
  • 糀本 芳郎(有限会社 プライメイト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,150,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、再狭窄抑制・心筋梗塞抑制をもたらす次世代の遺伝子・薬剤溶出型ステントを創製し、臨床応用を目指すことである。具体的には以下の3点を目標とする。
1) 霊長類を用いた再狭窄・動脈硬化モデルの作製
2) 遺伝子・薬剤溶出型ステントの開発
3) 臨床応用を目指した探索的臨床試験
研究方法
1.霊長類を用いたステント内再狭窄モデル作製と有効性試験
霊長類の腸骨動脈にステントを留置するモデルを用いて遺伝子・薬剤溶出型ステントの有効性を明らかにする

2.生体完全吸収性ナノテクDDSステントの開発
ステントプラットホームとしてマグネシウムを用いる。さらに、ナノ粒子のコーティングによって生体吸収性ステントを開発する。

3.NF-kBデコイ遺伝子導入臨床試験探索的臨床試験  
虚血性心疾患患者を対象として、ステントによる拡張術後、NF-kBデコイをドラッグデリバリーカテーテルを用いてステント部位に投与した。投与後6ヶ月間にわたって新血管イベントの発生と再狭窄の程度を評価した。
結果と考察
1)ステント後再狭窄モデルの作製と遺伝子溶出性ステントの有効性試験ならびに安全性試験:遺伝子溶出型ステントを作製することに成功し、7ND遺伝子溶出ステントの6ヶ月間にわたる長期の再狭窄抑制作用を明らかにした。また、遺伝子溶出ステントの安全性も確認した。

2)生体吸収性ステントプラットホームの開発:マグネシウムを用いて生体完全吸収性ステントを開発した。

3)ナノテクコーティング技術の開発:生体吸収性高分子ナノ粒子をコーティングする新技術を開発した。

4)探索的臨床試験: NF-kBデコイを18症例に対して投与し試験を終了した。
結論
遺伝子溶出ステントの有効性と安全性が霊長類で明らかにできた。臨床試験においてNF-kBデコイの安全性が示された。また、生体完全吸収性ナノテクDDSステントの実用化の可能性が見えてきた。平成18年度は、これらの新技術を融合させて炎症ならびに再生促進をターゲットにした新しいDDSステントの研究開発を行う。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-