新しい生体接着理論に基づく血管付着機能を有するステントの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500251A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい生体接着理論に基づく血管付着機能を有するステントの開発に関する研究
課題番号
H17-フィジ-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岸田 晶夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 樋上 哲哉(札幌医科大学 医学部)
  • 増澤 徹(茨城大学 工学部)
  • 木村 孝之(茨城大学 工学部)
  • 山本 芳郎(株式会社ミワテック)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ステントを用いた循環器疾患治療は、低侵襲で高効率な治癒が可能なため、期待されている。しかしながら、ステント挿入の対象になる病変血管の多くは、動脈硬化あるいは石灰化により弾力性を喪失していたり、内皮細胞の脱落や平滑筋細胞の過増殖等の再生異常が生じており、従来の考え方では問題の解決は容易ではない。本研究事業では、新しい生体組織接着理論に基づくステント等の人工材料と生体との接着の新手法の基礎研究とそれを応用した血管接着性ステントシステムの開発および同じ手法を用いた汎用組織接合システムの開発を目的とする。基盤となる生体組織接着理論は、多孔質構造基材とナノ振動による生体組織誘導法と、超音波波動によるタンパク質変性による生体接着から導き出されたものである。ここでは、①生体接着機構の解明、②ステント固定用装置の設計、③汎用技術への応用について検討する。
研究方法
超音波メスの凝固モードでは、細血管の閉塞が可能である。このとき血管壁が融合し、良好な組織再生が行われる。この機構を明らかにするために、超音波メスの作動原理を、振動、熱、圧力の3要素に分類し、それぞれを独立に評価出来る実験系を組み立て、3種の要素とそれらの組み合わせによる生体組織接着について検討した。
結果と考察
超音波メスの凝固モードによる生体組織接着において、振動、熱、圧力の3要素が適切な条件で組み合わされたときに、良好な接着が得られることが明らかとなった。この結果を基盤に、血管内での接着を実現するために、最小の振幅での接着条件を探索した。超音波メスでは振動による発熱を利用するために、100μm程度の振幅を必要とし、このため装置の大きさが嵩高いものとなっている。本研究で見いだした条件では、このような大きな装置を必要としない振幅での接着を実現する条件を見いだした。
結論
振動、熱、圧力を組み合わせて利用する新しい生体接着法について検討した。血管内手術あるいは内視鏡手術を可能にする装置の小型化に必要な条件を見いだした。この技術により、ステントの新しい固定化法だけでなく、縫合糸による生体接合にかわる新しい治療機器開発の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2006-05-02
更新日
-