逆コンプトン散乱x線源を用いた医用イメージング法の開発

文献情報

文献番号
200500248A
報告書区分
総括
研究課題名
逆コンプトン散乱x線源を用いた医用イメージング法の開発
課題番号
H17-フィジ-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
盛 英三(国立循環器病センター研究所 心臓生理部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹下 聡(国立国際医療センター・心臓血管内科)
  • 上坂 充(東京大学大学院工学系研究科)
  • 百生 敦(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
  • 武田 壮一(国立循環器病センタ-研究所・心臓生理部)
  • 柴田 洋之(国立循環器病センタ-研究所・心臓生理部)
  • 福山 直人(東海大学)
  • 福島 和人(国立循環器病センタ-研究所・心臓生理部)
  • 梅谷 啓二(高輝度光科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
巨大シンクロトロン加速器から放射される放射光の代替として逆コンプトン散乱x線源(高輝度単色x線源)を開発する。これにより、微小血管造影や経静脈的血管造影、単色x線CT、位相コントラスト撮像、筋収縮タンパク解析、タンパク質結晶構造解析などを通常の医療施設あるいは研究施設内で実現しようというものである。
研究方法
①微小血管造影装置の整備と放射光対照実験の遂行:H17年度はx線直接変換型撮像管を中心に構成される撮影システムの整備を行った。また、同様の撮像システムを用いる放射光造影システム整備し、対照実験を開始した。②逆コンプトン散乱x線発生装置の整備:小型のxバンドリニアックで加速された電子ビームをレーザーと衝突させてX線を発生させる。熱RF電子銃で生成されたマルチバンチ電子ビームはxバンド加速管で加速され、パルスレーザー光と衝突させ、Compton散乱により時間幅10ns(FWHM)の硬x線を生成する。③位相コントラスト撮影装置の整備:本x線源の第2の応用例として、x線タルボ干渉計を用いた位相コントラスト撮影装置の理論構築を行った。
結果と考察
①微小血管造影装置の整備と放射光対照実験の遂行:撮像系の限界解像度は約6μmであった。拍動下のラットかん流心心筋表面の冠血管とそれから分岐する心筋内微小血管の画像を動きに伴うブレの少ない状態で得ることができた。本装置は、6μmの空間分解能を有するので、20-100ミクロンオーダーの微小血管の描出と(半)定量評価を実現しうる。臨床応用にまで展開できれば新たな医療パラダイムの構築に資すると考えられる。②逆コンプトン散乱x線発生装置の整備:これまでに電子銃駆動のためのRF発生に成功し、今年度はxバンド熱カソードRF電子銃による2.0MeV電子ビームの発生に成功した。xバンドRF熱カソードRF電子銃の運転は世界でも殆ど類がなく、本システムが初の本格的な運転と言っても良い。③位相コントラスト撮影装置の整備:2つの回折格子(位相型、および振幅型)と、その直後にx線画像検出器(例えばフラットパネルセンサー)を配置する。被写体は第一回折格子の直前に置くシステムを検討中である。
結論
病院に設置できる放射光代替x線源として逆コンプトン散乱x線を開発している。ラットかん流心の冠微小血管撮影装置への応用を初めとして、その有用性を検証中である。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
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