脳血管障害の診断解析治療統合化システムの開発

文献情報

文献番号
200500247A
報告書区分
総括
研究課題名
脳血管障害の診断解析治療統合化システムの開発
課題番号
H17-フィジ-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
古幡 博(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 小川 武希(東京慈恵会医科大学救急部)
  • 井上 聖啓(東京慈恵会医科大学神経内科)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター内科脳血管部門部長)
  • 梅村 晋一郎(京都大学医学部保健学科)
  • 窪田 純(㈱日立メディコ技術研究第一部)
  • 佐々木 明(㈱日立メディコマーケティング製品戦略統括本部)
  • 荻原 誠(㈱日立メディコ技術研究所第一部)
  • 川畑 健一(㈱日立製作所中央研究所ライフサイエンス研究センター)
  • 東 隆(㈱日立製作所中央研究所ライフサイエンス研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
72,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦死因の第3位を占める脳血管障害における急性虚血性脳卒中及び未破裂動脈瘤の塞栓法に対する経頭蓋的超音波治療法を実現するため、超音波治療ビームの照射面に相当する頭部CTやMRIの3次元断面像を表示し、高精度に標的部位に治療ビームを暴露する方法を開発する。
研究方法
①頭部CTやMRI像の三次元構築を行い、超音波治療断面に相当する任意の切断面を常時表示し続けるBrain Virtual Sonography (BVS)を開発した。
②急性虚血性脳卒中治療に供する血栓溶解剤併用の経頭蓋超音波脳血栓溶解部を構築し、その高効率化及びLipid Bubble (LB)による溶解加速化を行った。
③低周波超音波(1MHz以下)に対する安全限界について、水中でのキャビテーション発生閾値と超音波条件の関係、また病的血管に対する安全性を動物実験 (先天性高血圧ラット(SHR-SP)を使用)で検討した。
④未破裂動脈瘤に対する経頭蓋超音波塞栓法に資する超音波高吸収剤の基礎的検討を行った。
⑤BVSシステムの臨床適用環境を検証するため、BVSのデータ処理室及び実験室を整備した。
結果と考察
①BVSの精度は1mm以下で、頭蓋内患部に対する十分な精度を得た。またヒト頭部のMRI像及びCT像を用い、BVSの基礎要件の完備していることを検証した。
②経頭蓋超音波脳血栓溶解部に用いる超音波プローブ固定具を開発した。また高齢者における経頭蓋的超音波断層法の検出率は約65%であり、BVSの不可欠なことを確認した。なおLB を用いたIn vitro実験では、数分以内での溶解効率向上が認められ、[TPA+LB]による溶解加速化が示唆された。③低周波超音波によるキャビテーションの発生は超音波波形、パルス時間、音圧によって左右され、適切な条件設定が求められた。また、SHRに経頭蓋照射した結果、高週齢の中でも陳旧性梗塞のある場合に限り、出血の惹起されることが1W/㎠以上で認められ、より詳細な安全性の検討が必要となった。
④超音波高吸収剤として微小気泡を含む含気性物質を見出した。しかし凝固とともに高温となるため、適正な条件設定が必要となった。
⑤BVS統合化実験室を整備し、同実験室内にBVSのシステムを備え今後のヒトを用いた実験的検証を行う基盤を固めた。
結論
脳血管障害に対する診断解析治療統合化システムの要素技術を概ね確立し、臨床適用に向けた基盤を整えた。

公開日・更新日

公開日
2006-05-10
更新日
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