文献情報
文献番号
200501378A
報告書区分
総括
研究課題名
特異体質性薬物肝障害発症の機構解明と予測実験系の開発
課題番号
H17-トキシコ-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
横井 毅(金沢大学大学院医学系研究科 薬学部兼任)
研究分担者(所属機関)
- 中島 美紀(金沢大学大学院医学系研究科 薬学部兼任)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
31,528,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特異体質性薬物肝障害は殆どの場合、ヒトに特異的に発症するため、実験動物を用いた研究が難しいことが、この分野の研究の進展を困難にしている。(1)実験動物におけるグルタチオン抱合活性がヒトに比べて著しく高いために、薬物またはその活性中間体が解毒されやすいために肝障害が起き難いと考えられる。(2)突発性薬物肝障害を惹起する薬として、トログリタゾンを中心に検討し、2次元プロテオミクスを駆使し、トログリタゾンのヒト肝細胞傷害性を指標にした検討を行った。(3)プロテオミクス、siRNAおよびmicroRNAが関わる肝毒性の事象の評価研究のために、遺伝子の網羅的な発現変動に関する基礎的検討を行った。(4)microRNAの薬や生体内異物を代謝する酵素の転写後調節への関与を明らかにし、毒性発現との関わりの検討を開始した。
研究方法
(1)グルタチオン合成酵素であるg-glutamyl-cysteine synthetase (g-Gcs) に注目し、この酵素の産生をアデノウイルスの系を用いてshRNA法によりノックダウンすることを検討した。(2)2次元プロテオミクスを駆使して、変動するタンパク質を同定した。(3)典型的な肝障害性化合物5種類をそれぞれラットに投与し、DNAマイクロアレイによる網羅的発現解析等を行った。
結果と考察
(1)細胞を用いた系において、g-GcsをmRNAレベルおよびタンパクレベルで80%以上の抑制を得られた。GSH含量は約50%程度の減少にとどまった。(2)シャペロン蛋白の一種であるBiP(immunoglobulin heavy chain binding protein)を特定した。この蛋白の発現をsiRNA法によってノックダウンすることにより、トログリタゾンの細胞毒性が憎悪することを明らかにした。(3)肝障害性に関係すると考えられる遺伝子を特定した。さらに、化合物に特徴的な遺伝子の動きを探り、投与量に依存しない変動するパターンを特定した。(4)ヒトにおいて代謝的活性化に関わる代表的なCYP1B1に、microRNAの1つであるmiR-27bの関与を見出した。
結論
表記の課題についてほぼ当初の予定どおりに進行しているが、(1)shRNA系作製は終了。In vivoの検討を急ぐ。(2)原因タンパクを特定できた。(3)解析法を見出すことができた。(4)肝障害との関連の検討を行う。
公開日・更新日
公開日
2006-04-07
更新日
-