文献情報
文献番号
200500233A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物代謝に関与する発現タンパク質の超高感度検出と解析
課題番号
H17-トキシコ-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
甲斐 雅亮(長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 椛島 力(長崎大学・大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒトの薬物代謝は、主にチトクロームP450(CYP)の酵素類が担っている。これらの活性の違いは、DNAの塩基配列の違いに基づくタンパク質の一次構造の差以外にも、発現後のタンパク質の二次的な構造変化も重要な因子である。従って、薬に対する反応の個人差を調べるために、CYP自体の個人差を直接解析できる新手法が必要である。本研究では、当該研究者らが創製している化学発光性高分子を超高感度検出用プローブとして適応し、プロテインチップ上で、極微量の各種薬物代謝酵素を一斉に検査できる新技術の開発研究を行った。
研究方法
まず、水溶性を損なうことなく、イソルミノールを多数結合させたデキストラン高分子を合成し、それらの発光性を調べた。次に、これらの高分子をCYPの超高感度検出用プローブとして適用するために、膜上のビオチン化抗体との連鎖的な結合性について調べた。さらに、PVDF膜にCYPを吸着させ、それとCYPに特異的な一次抗体及び抗IgGビオチン化二次抗体との両結合反応、ブロッキング及び洗浄条件等について検討した。また、当該研究者らが開発したグアニン塩基を化学発光体に変換できるTMPG試薬を用いて、CYPのアプタマー核酸を探索した。
結果と考察
CYPタンパク質を、PVDF膜にアレイ状に吸着させ、膜上のCYP検体に、特異的な一次抗体及び検出用のビオチン化二次抗体を結合させたのち、アビジンタンパク質を介して、ビオチン含有化学発光性高分子プローブを効率よく連結させ、その複合体から得られる発光を検出する手法を開発した。この簡易なプロテインチップ手法によって、100ngレベルのCYPが測定できた。また、あるヌクレオチドオリゴマー(24 merのDNA)が、特定のCYPと結合(結合定数106レベル)することが判明した。
結論
本研究では、CYPのサブタイプ別に捕獲できる各CYP抗体をPVDF膜にアレイ状に吸着させたのち、それらに検体である各種CYPを一斉に膜上に結合させ、さらに、化学発光性高分子プローブを効率よく検体と連鎖的に結合させることによって、各種CYPの一斉超高感度検出手法を開発する必要がある。したがって、今後、CYPに特異的な市販の一次抗体にビオチンまたはアビジンを直接付加したものを検出用抗体として調製する。同時に、検出感度を高めるために、より強い発光が期待できるルミノールを多数導入した化学発光性高分子を合成する。一方、CYPに対するより結合性の高いアプタマー核酸を見出し、それを検出用抗体の代替にし、かつTMPG試薬によるDNA結合型抗体の超高感度検出手法についても研究する。
公開日・更新日
公開日
2006-05-10
更新日
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