ストレス遺伝子チップを用いた医薬品の副作用機構の解明と、副作用のない新規医薬品開発戦略の確立

文献情報

文献番号
200500230A
報告書区分
総括
研究課題名
ストレス遺伝子チップを用いた医薬品の副作用機構の解明と、副作用のない新規医薬品開発戦略の確立
課題番号
H17-トキシコ-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
水島 徹(熊本大学大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大塚 雅巳(熊本大学大学院医学薬学研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究提案の目標の一つは、ヒトストレス遺伝子チップを開発したという実績を基に、更なるストレス遺伝子の網羅的同定を行い改良型ヒトストレス遺伝子チップを開発することである。またこのストレス遺伝子チップを使って、臨床現場でその副作用が問題になっている既存の医薬品の細胞傷害機構を調べることによりその副作用メカニズムを解明し、副作用のない新しい医薬品の開発戦略を確立する研究も行う。一方本研究で我々は、微生物を利用して、医薬品の細胞毒性(副作用)に関する新しいヒト遺伝子を同定し、副作用感受性の個人差を規定している遺伝子多型を同定する。
研究方法
細胞に各ストレスを与えた時に誘導される遺伝子を検索した。一方、我々が見いだしたNSAIDsの膜傷害性に関する構造活性相関を基に、新たに30種のNSAIDsを合成した。まずこれらの膜傷害性を我々が特許化している方法で調べ(一次スクリーニング)、次に細胞傷害性をモルモット胃粘膜初代培養細胞で調べた(二次スクリーニング)。さらにCOX阻害活性を確認しCOX-2選択性を持たないものを選択した後(三次スクリーニング)、動物実験で胃潰瘍副作用と抗炎症作用を調べた。
結果と考察
改良型ストレス遺伝子チップを開発し、それがDNAチップとして機能することを確認した。
一方、一〜三次スクリーニングの結果選択したNSAIDsに関して、動物実験で胃潰瘍副作用を調べた。その結果、全てのNSAIDsは弱い胃潰瘍副作用を示した。さらに特に胃潰瘍副作用の少なかった4種に関して抗炎症作用を調べところ、イブプロフェンより弱い抗炎症作用を示すものが2種、同程度の抗炎症作用を示すものが2種存在した。以上のスクリーニングにより、胃潰瘍副作用の少ないNSAIDsを発見できた。一方本年度我々は、NSAIDs潰瘍感受性の個人差を規定している遺伝子の候補として十数個の遺伝子を選定した。次にSNPのデータベースからこれらの遺伝子のSNPを検索した。その中で我々はTETRANとHSP72に注目した。その結果、両遺伝子のSNPがNSAIDs潰瘍感受性の個人差を規定している可能性を示した。
結論
本研究により、トキシコゲノミックスの有用性が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-