非侵襲試料を用いた新規高感度安全性予測系の開発

文献情報

文献番号
200500229A
報告書区分
総括
研究課題名
非侵襲試料を用いた新規高感度安全性予測系の開発
課題番号
H17-トキシコ-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 宮田 昌明(東北大学大学院 薬学研究科)
  • 堀   弥(杏林製薬株式会社 創薬研究所薬理研究部動態安全性研究室)
  • 矢本  敬(三共株式会社 安全性研究所研究第六グループ)
  • 宮田 直樹(名古屋市立大学 薬学研究科)
  • 鈴木 孝昌(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部細胞バンク)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品開発に際して、トキシコゲノミクス手法を導入した研究により毒性発現に関する多くの情報が得られるようになった。しかし実際には種差のあるヒトの毒性を詳細に予測することは難しく、その予測にはトキシコゲノミクス研究で得られた遺伝子の発現情報に加えて、毒性によって生じた細胞環境の変化を高感度に検出する手法の組み合わせによる、細胞維持・エネルギー代謝系が関わる内因性物質の代謝変動の経時的な情報が必須である。そこで本研究事業では、ヒトへの応用が簡便な、尿などの非侵襲試料を中心として用いた新規メタボロミクス・プロテオミクス高感度安全性予測系を確立することで、既存手法および実験動物データからでは予測不可能であった毒性マーカーを新たに見出し、毒性の早期予測ならびに詳細なメカニズム予測を実現することを目的とした。
研究方法
メタボロミックスに関してはMSおよびNMRの2通りの手法を、プロテオミクスはLC/MS/MSを検討した。毒性発現モデルは、マウスを使用して胆汁鬱滞型肝障害モデル及びflutamideによるヒト特異的な肝障害を誘発させる動物モデル、アセトアミノフェンによるラット肝障害モデルを開発あるいは使用した。
結果と考察
メタボロミクス・プロテオミクス研究を遂行するための解析手法に関する基盤的技術を開発した。1H-NMRによるラット尿成分のメタボロミクス解析に関しては、特別な前処理は必要とせず、短時間の測定で十分なSNのスペクトルを得られた。MSを用いた解析では、尿の質量スペクトルから統計学的手法により解析することで、前処理並びに投与条件の異なる肝障害誘発モデル群を分離することが可能となった。毒性発現モデル動物実験の解析では内在性代謝物の動態に関連する遺伝子の発現変動より生体内代謝物の変動を予測し、それに対応する生体内代謝物のレベルを測定して検証するという手法が毒性発現機序を解明する有効な手法であることが示された。プロテオミクス解析技術の高度化試薬を開発し、フラーレン構造導入試薬がペプチドのソフトイオン化測定に有用であることが示された。
結論
メタボロミクス・プロテオミクス研究を遂行するための解析手法に関して、誘導化試薬の開発を含め、次年度以降用いる基盤的技術を開発した。肝毒性発現実験動物モデルの作成に成功し、毒性発現機序を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-