細胞内動態制御機能を有する新規細胞選択型ナノ遺伝子キャリアの開発と遺伝子治療への応用

文献情報

文献番号
200501377A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞内動態制御機能を有する新規細胞選択型ナノ遺伝子キャリアの開発と遺伝子治療への応用
課題番号
H16-ナノ-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
川上 茂(京都大学大学院 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞内動態を制御する新規機能性ナノ遺伝子キャリアの科学的根拠に基づいて設計し、in vivoにおける最適化を通じて、効果的なin vivoでの細胞選択的遺伝子デリバリーシステムを構築する。さらに、開発した遺伝子デリバリーシステムを駆使し、非ウイルスベクターによる安全かつ有効な遺伝子治療の実現を試みる。平成17年度は、新規ガラクトースならびにマンノース-ヒスチジン修飾リポプレックスの物理化学的性質、細胞への取り込み特性ならびに遺伝子発現能、ならびに効果的なin vivo遺伝子導入のための製剤設計をおこなった。
研究方法
新規機能性ナノ遺伝子キャリアは、昨年度合成したGal-(or Man-)-His-C4-CholをDOTMA/cholesterolより調製した。モデルpDNAは、ホタルルシフェラーゼをコードしたpCMV-Lucを用いた。pCMV-Lucを放射ラベル後、リポプレックスを調製し、放射活性を測定することで、細胞取り込みおよび体内動態評価した。また、細胞へ添加あるいはマウスへ投与後、Luc活性を測定することで、遺伝子導入能を評価した。また、5%グルコースにNaClを0-20 mMの最終濃度となるように混合してリポプレックスを調製し、物理化学的性質および遺伝子導入能を評価した。また、赤血球あるいは血清とリポプレックスを混合し、生体成分の遺伝子発現に及ぼす影響を評価した。
結果と考察
ヒスチジン導入により有意に高い遺伝子発現が認められ、そのメカニズムとして細胞内におけるプロトンスポンジ効果に基づく遺伝子医薬品のエンドソームからの脱出促進が示唆された。ガラクトース修飾リポプレックスでは門脈内投与により肝臓、マンノース修飾リポプレックスでは静脈内および腹腔内投与で抗原提示細胞へ選択的な遺伝子導入が可能であった。一方、リポプレックス調製溶媒の電荷質濃度が生理イオン濃度中での安定化に重要であり、最適化によりin vivo遺伝子導入の改善が可能であった。また、リポプレックスと赤血球との相互作用がin vivo遺伝子導入の重要な障壁であることを明らかにし、血管系を介さない投与方法による遺伝子導入効率改善の可能性が示された。
結論
ナノ遺伝子キャリアを用いた効率的なin vivo遺伝子導入システムを確立した。平成18年度は、本システムを応用した遺伝子治療の最適化をおこなう。

公開日・更新日

公開日
2006-04-07
更新日
-