がんの超早期診断・治療システムに関する研究

文献情報

文献番号
200500225A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの超早期診断・治療システムに関する研究
課題番号
H17-ナノ-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
今野 弘之(浜松医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 神谷 欣志(浜松医科大学 医学部 )
  • 太田 学(浜松医科大学 医学部 )
  • 寺川 進(浜松医科大学 医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ラマン分光スペクトルを用い、従来の組織癌診断に変わる臨床応用可能な光線力学的診断法の確立を目指す。内視鏡下での癌非癌の判定(Endoscopic Raman Diagnostic System)や手術中の癌の浸潤やリンパ節転移を判定(Intra-operative Raman Diagnostic System)を行うための基礎的研究として、内視鏡下生検組織や手術検体を用いてラマン分光スペクトルの解析による癌の診断の精度を高め、さらに臨床応用を目的としたRaman Diagnostic system(RDS機器の開発を行う。
研究方法
Endoscopic RDSとして内視鏡生検組織を用いて癌部と正常部のラマン分光解析を行った。光解析結果から、癌非癌の違いを評価し、癌診断の正誤率を評価した。
Intra-operative RDSとして手術で得られた胃切除標本、転移リンパ節、非転移リンパ節、ラマンスペクトルの解析を行い、診断精度の向上を検討。
ラマン分光解析結果と臨床病理学的因子との関連の検討。
結果と考察
(a) Endoscopic RDS:内視鏡下に採取された無処理癌組織片を用いてラマン分光スペクトルの検討を行った。最初に主成分分析(PCA)を用いた検討を行った。同一検体での腫瘍部、正常部の比較において、癌、非癌を示す特徴的な波形が現れ、両者の識別可能な事が確認された。32症例の検体の解析では約70%の未知検体の癌正診率が得られた。さらにより再現性の高い解析方法の確立のために、20例に対し、新たにcalibration setを正常グループ、癌グループで作成した後、判別解析により、測定試料の分類を行った。PCAによらない最小二乗分析において全検体の特異性76%、感受性66%、正診率71%という良好な結果が得た。
(b) Intra-operative RDS:手術により摘出した胃癌切除全検体を組織学的に評価し、組織学的結果とRDSによる解析結果との整合性の検討した結果癌部及び非癌部における特有のラマンスペクトラムが得られる可能性が示唆された。
結論
ラマン分光スペクトル診断は従来の組織癌診断に変わる臨床応用可能な光線力学的診断法の可能性を秘める。内視鏡下で癌非癌の判定や手術中の癌浸潤やリンパ節転移を判定する基礎的研究としてのデータを示すことができた。今後正診率の向上と機器の改良により臨床応用は可能である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-24
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
-