文献情報
文献番号
200500213A
報告書区分
総括
研究課題名
超音波を利用したsiRNA内包バブルリポソームのがん局所療法の臨床試験導入
課題番号
H17-ナノ-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松村 保広(国立がんセンター東病院 臨床開発センター がん治療開発部)
研究分担者(所属機関)
- 小泉史明(国立がんセンター東病院 臨床開発センターがん治療開発部)
- 丸山一雄(帝京大学薬学部)
- 立花克郎(福岡大学医学部)
- 古市泰宏(ジーンケア研究所)
- 嶋本 顕(ジーンケア研究所)
- 小玉哲也(東北大学先進医工学研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
52,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
遺伝子治療を臨床へ導入するためには、標的とするがん種の選定と、前臨床における実験モデル構築が重要である。本研究ではヒト肝がんそして脳腫瘍に対する動注療法および表在性膀胱がんに対する膀注療法の確立とそれに使用するキャリアおよび標的遺伝子を決定することである。またバブルリポソームと超音波を併用した分子導入法では、バブルリポソームの崩壊で発生するキャビテーション気泡の衝撃圧の制御を目的として理論的解析、分子動力学シミュレーションをおこなった。また、細胞実験、マウスを使った動物実験により分子導入に関わる物理条件の最適化をおこなった。
研究方法
1)ルシフェラーゼ発現各種肝がん、脳腫瘍、膀胱がん細胞をそれぞれヌードマウス肝、ヌードラット大脳、ヌードマウス膀胱に移植した。各臓器におけるがんの着床は、photon imagerにて、定性的かつ定量的に確認した。2)膀注療法に関しては、超音波バブル法により、膀胱内腫瘍への膀胱注入遺伝子デリバリーの実験を行った。3)ターゲット分子については、肝がんはアポトーシス関連分子、あるいはRecQヘリカーゼ遺伝子について検討した。4) 気泡の運動と衝撃波伝播の理論的解析および分子動力学シュミレーションを行った。(倫理面への配慮)すべての動物実験は、動物倫理委員会の了承を得て、動物愛護の観点から実施した。
結果と考察
結果:1)ルシフェラーゼ発現を移植した肝、脳あるいは膀胱に一致して、photon imagerにて確認することができた。2)超音波プローブとlipid bubbleを組み合わせた遺伝子導入がマウス膀胱で確認することができた。また免疫染色法にても確認した。3)ターゲット分子に関しては、肝臓がんでは抗アポトーシス関連分子の発現をsiRNAを用いて抑制することで、抗がん剤の感受性が増強することを確認した。またRecQヘリカーゼのSiRNAで肝がんモデルにおける抗腫瘍効果を認めた。
4) 遺伝子発現特性は超音波の圧力、Duty比、パルス数、圧力の空間分布、マイクロ気泡の種類に依存し、これらのパラメーラを最適化することで分子導入効率が改善されることが示された。
4) 遺伝子発現特性は超音波の圧力、Duty比、パルス数、圧力の空間分布、マイクロ気泡の種類に依存し、これらのパラメーラを最適化することで分子導入効率が改善されることが示された。
結論
本研究において遺伝子治療実験モデルの構築に成功した。今後さらに遺伝子キャリアとして、今回評価しなかったリポソームやリポソーム以外のキャリアについて検討を重ねるべきである。遺伝子発現特性は超音波の圧力、Duty比、パルス数、圧力の空間分布、マイクロ気泡の種類に依存し、これらのパラメーラを最適化することが今後の課題である。
公開日・更新日
公開日
2006-04-24
更新日
-