文献情報
文献番号
200500211A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患診断用プロテイン・チップの開発
課題番号
H17-ナノ-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 嘉浩(独立行政法人理化学研究所・伊藤ナノ医工学研究室)
研究分担者(所属機関)
- 上阪 等(独立行政法人理化学研究所・免疫・アレルギー科学総合研究センター・自己免疫病戦略研究ユニット)
- 諏訪 昭(東海大学医学部内科学リウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
自己免疫疾患では、自己細胞成分に対する種々の自己抗体が血清中に産生されることが特徴となり、これらの自己抗体は特定の臨床像と密接に関連し、疾患の診断や病型分類、治療効果判定、生命予後推定など臨床的に極めて重要である。しかしながら、現在の抗体測定法は、個々の自己抗原を単独で測定するものであるため、多数の抗体を同時に測定し、その相関を解析することができなかった。
そこで、本研究では、新しい抗原マイクロアレイを開発し、細胞内外の分子に対する複数の自己抗体およびこれら分子発現や相互作用を解析することを目標とした。疾患の早期診断や従来診断が困難だった自己免疫疾患の診断を容易にし、病態の把握、治療効果判定など日常臨床に直ちに応用可能なばかりでなく、病因解明の端緒となる先駆的な技術となることが期待される。
そこで、本研究では、新しい抗原マイクロアレイを開発し、細胞内外の分子に対する複数の自己抗体およびこれら分子発現や相互作用を解析することを目標とした。疾患の早期診断や従来診断が困難だった自己免疫疾患の診断を容易にし、病態の把握、治療効果判定など日常臨床に直ちに応用可能なばかりでなく、病因解明の端緒となる先駆的な技術となることが期待される。
研究方法
自己免疫疾患診断チップは、ポリスチレン製チップ表面を親水化処理し、その上にポリエチレングリコール系ポリマーとビスアジドをスピンコートし、UV照射によりプレコートし、この上に自己抗原と混合したビスアジドをアレイヤーを用いてスポットし、UV照射することにより調製した。このマイクロアレイ・チップ上に希釈した患者血清を滴下し、その後PBSで洗浄し、抗ヒト抗体IgGを滴下し、化学発光により検出した。
結果と考察
本方法と従来のELISA法との相関を検討したところ、抗SS-B抗体、抗1snRNP68プロテイン抗体、抗dsDNA抗体、抗セントロメアタンパク質B抗体で高い相関性が得られた。一方、抗SS-A52kDa抗体、抗SS-A60kDa抗体、抗U-snRNPタンパク質B/B'(Sm)抗体、抗トポイソメラーゼ(Scl-70)では低い相関関係となった。これらについては、抗原の入手先が異なることが影響したためと考えられた。
自己免疫疾患は複数の抗体の組み合わせで起こる疾病であるため、マイクロアレイで抗体を検査することは診断にとって重要になることが考えられ、従来は関係が明らかでなった抗体と疾病との関係が明らかになる可能性があり、将来有望な技術と考えられる。
自己免疫疾患は複数の抗体の組み合わせで起こる疾病であるため、マイクロアレイで抗体を検査することは診断にとって重要になることが考えられ、従来は関係が明らかでなった抗体と疾病との関係が明らかになる可能性があり、将来有望な技術と考えられる。
結論
本年度は、既知で臨床診断に用いられている自己抗原をマイクロアレイ固定化することに成功し、患者血清を用いて評価を行うことができた。
公開日・更新日
公開日
2006-04-10
更新日
-