テーラーメイド医療用全自動DNAチップ診断機器の開発

文献情報

文献番号
200500197A
報告書区分
総括
研究課題名
テーラーメイド医療用全自動DNAチップ診断機器の開発
課題番号
H16-ナノ-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
源間 信弘(株式会社東芝 研究開発センター 事業開発室)
研究分担者(所属機関)
  • 東 純一(大阪大学大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
最近、医薬品の有効性や副作用発現の個体差を予測するために、薬物代謝酵素や薬物標的分子の遺伝子多型の判定や、特定の遺伝子発現量の変動解析に関するデータが蓄積されつつあり、これらの情報を利用したテーラーメイド医療に対する期待が高まって来ている。しかしながら、一方では遺伝子を解析する機器は非常に高価で尚且つ操作に専門性が必要なため、一般の医療現場で使うにはハードルが高いなど、テーラーメイド医療を支えるハード面での対応は必ずしも充分とは言えない。そこで本研究は、テーラーメイド医療の実践を加速するために、迅速、安価、高信頼性のDNAチップおよび全自動DNAチップ診断機器を開発することを目的とする。
研究方法
(1)全自動DNAチップ診断機器の開発
主任研究者らがこれまで検証してきた電流検出型DNAチップと全自動DNA検査プロセスを基に、全自動DNAチップ診断機器の開発を行う。

(2)薬物動態予測用DNAチップの開発
代表的な薬物代謝酵素の遺伝子多型を解析するための電流検出型DNAチップを開発し、臨床検体を使ってその実用性を評価する。
結果と考察
(1)全自動DNAチップ診断機器の開発
 昨年度決定した仕様を基に、今年度は全自動DNAチップ診断機器で用いる使い捨てカセットの試作・機能検証を中心に検討を行った。まず、カセットで使用する試薬の保存性試験、カセット構成材料との親和性試験を行い、試薬組成、試薬保存方法の決定およびカセット構成材料を選定した。試作したカセットは大きさが約5×7×2cmで、サンプル注入部、試薬保管部、増幅反応部、DNAチップ、送液流路などから構成されており、サンプル注入以降は完全密閉されコンタミネーションの発生を抑制する。実際にマウスのCyp2c29およびCyp2c39遺伝子をモデルに、血液からの全自動検査プロセスを検証した結果、約2時間で特異的な検出が可能であった。

(2)薬物動態予測用DNAチップの開発
今年度は新たにCYP2C9解析チップとして、*1と*3を識別するための電流検出型DNAチップを開発した。臨床検体を使ってDNAチップの実用性を評価した結果、従来法による解析結果と一致していた。

結論
全自動DNAチップ診断機器のプロトタイプを開発し、血液からの全自動検査プロセスの動作を検証することができた。今後装置の完成度を高め、最終年度に予定している医療機関での実用性検証に繋げたい。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-