標的ペプチド付加型感温性ナノミセル及び高周波焦点照射による局所DDSの開発

文献情報

文献番号
200500195A
報告書区分
総括
研究課題名
標的ペプチド付加型感温性ナノミセル及び高周波焦点照射による局所DDSの開発
課題番号
H16-ナノ-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石坂 幸人(国立国際医療センター 難治性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川正勝(名糖産業名古屋研究所)
  • 河野健司(大阪府立大学工学部)
  • 山下克美(金沢大学薬学部)
  • 湯尾明(国立国際医療センター)
  • 畠清彦(癌研究会化学療法部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
標的ペプチド付加型磁性体粒子とMRIによる画像化の条件を設定する一方、温度感受性高分子とリン脂質からなる複合型リポソームに包埋した抗癌剤を用いて生体内での局所DDSの可能性を明らかにする。
研究方法
MRIを用いた画像化には、2種類のペプチドを用いた。RBP-1は神経芽細胞腫細胞株で高率に発現を認めるレセプター型チロシンキナーゼRETに結合性を示すペプチドで、KDR-BPは腫瘍組織を栄養する血管造成に必要な血管内皮細胞増殖因子レセプターに結合するペプチドである。磁性体ナノ粒子であるCMDM一分子に対して種々のモル比でペプチドを作用させ、標的分子に対する結合性を調べた。MRI解析は、シーメンス社製1.5テスラーのMRIを用いて行い、主としてT1及びT2強調画像による解析を行った。
 感温性リポソーム(粒径約100 nm)の作成は、脂質膜へのアンカー部位をもつ感温性高分子である2エトキシエトキシエチルビニルエーテル-オクタデシルビニルエーテルブロック共重合体、ポリエチレングリコール(PEG)脂質と卵黄ホスファチジルコリンおよびコレステロールを用いた。このリポソーム分散液にアドリアマイシン(以下ADR)を加えることでADR内封共重合体修飾リポソームを調製した。加温誘導によるADRの放出を蛍光強度の変化で計測した。また、マウス体内に投与したリポソームの滞留時間を測定した。
結果と考察
磁性体1分子に対して10-15個のペプチドを付加することにより、標的分子への強い結合性が得られた。In vitroでペプチド結合型磁性体ナノミセルを標的分子を発現する細胞に作用させ、MRI解析を行った。RET及びKDR-1発現細胞がMRIにより検出された。KDR-BP付加型磁性体粒子を担癌マウスに投与すると、5時間後に腫瘍辺縁部にシグナルが観察された。一方、共重合体を複合化したリポソームは、共重合体の転移温度(約40度)以上において、極めて急速に、著しいADRの放出を引き起こした。またマウス体内では通常のPEGリポソームとほぼ同様の滞留時間を示した。
結論
ペプチド付加型磁性体ナノミセルを用いて標的細胞を画像化することが可能になった。また、感温性を有しながら血中滞留性に優れた感温性リポソームが得られることが明らかになった。次年度では標的細胞選択的にDDSを行うための基礎検討を行う。

公開日・更新日

公開日
2006-04-27
更新日
-