臓器移植の社会基盤整備に関するー脳死臓器提供を承諾した家族の心情と臓器移植コーディネーターによるドナー家族ケアに関する経年的調査研究

文献情報

文献番号
200500193A
報告書区分
総括
研究課題名
臓器移植の社会基盤整備に関するー脳死臓器提供を承諾した家族の心情と臓器移植コーディネーターによるドナー家族ケアに関する経年的調査研究
課題番号
H17-再生-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小中 節子(社団法人日本臓器移植ネットワーク)
研究分担者(所属機関)
  • 朝居 朋子(社団法人日本臓器移植ネットワーク 中日本支部チーフコーディネーター)
  • 菊地 耕三(社団法人日本臓器移植ネットワーク 理事、医療本部副本部長、広報・普及啓発部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.脳死臓器提供を承諾した家族の承諾理由、脳死提供から提供後までの心理状況や影響を与えた要因につき経時的に調査し家族支援体制の構築のための基礎資料を得る。2.移植コーディネーター(以降Co)の行なった家族対応をまとめ、1の基礎資料の双方を基に移植Coによる家族支援の標準モデルを検討・作成し移植Coの質の向上を目指した教育・研修プログラムを開発。
研究方法
家族調査では家族調査項目・調査者・分析方法を検討。家族対応実態調査では臓器提供者家族への説明・承諾手続の実態を把握できるよう調査項目を検討した。この調査項目に基づき日本臓器移植ネットワークを介して脳死臓器提供40事例(含む法的脳死判定後臓器提供に至らなかった1事例)への家族対応の実態調査を実施。 
結果と考察
①脳死臓器提供者家族の意識調査用紙作成:調査用紙は提供前・提供時・提供後の心情や意識と臓器移植Coによる実際的支援の評価を含め、被聴取者へ配慮し複数の脳死臓器提供者家族の意見を反映(全80問)
②脳死臓器提供者の家族対応の実態調査結果:臓器提供者家族への脳死下臓器提供に関する説明及び承諾手続きに要した説明回数や総所要時間の調査を実施。経過時間は最短35分・最長4日7時間12分と家族が承諾までに要した時間が長期に渡る事例がある。家族状況のうち家族が困惑した主な事項は「情報公開(知られてしまう・迷惑をかける)」(65.0%)、「家族の総意(考えられない・誰に話すか)」(22.5%)等。また提供後1年間は移植コーディネーターによる全提供家族への対応が行われおり特に提供後3ヶ月以内の対応頻度が多かった。③渡米調査の結果1)追悼セレモニーの開催「臓器提供=正しい行為」との肯定付け2)提供後の家族フォローの専任部署にソーシャルワーカーの存在3)臓器提供者家族支援のツールやグッズ作成等。



結論
臓器提供者家族への実態調査から終末期にある患者の家族は悲嘆の中でさらに脳死下臓器提供に関する説明・承諾手続きに時間的・精神的負担がかかっている実態が改めて浮上。次年度以降に詳細な分析を行うことにより家族対応の必要性と課題を探りCoの家族支援標準モデルの検討・作成の基礎資料としたい。17年度の渡米調査で入手した臓器提供者家族フォローの種々のツールは本邦におけるツール作成に有用な参考となる。本邦での臓器移植Coによる家族フォローのあり方を再考するためにもアメリカの手法が参考になると思われる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-09-27
更新日
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