重度熱傷、皮膚潰瘍等に対する新規超微細多孔質薄膜を活用した培養皮膚再生技術の開発

文献情報

文献番号
200500189A
報告書区分
総括
研究課題名
重度熱傷、皮膚潰瘍等に対する新規超微細多孔質薄膜を活用した培養皮膚再生技術の開発
課題番号
H17-再生-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
McMillan、 James R.(北海道大学・創成科学共同研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 田畑 泰彦(京都大学・再生医科学研究所・生体組織工学研究部門・生体材料学)
  • 下村 政嗣(北海道大学・電子科学研究所附属ナノテクノロジー研究センター)
  • 清水 忠道(富山大学・医学部・皮膚科学)
  • 西村 栄美(北海道大学・創成科学共同研究機構・幹細胞生物学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研本研究において、全く新しい人工膜(多孔質薄膜)を用いる。ハニカム構造を呈する多孔質薄膜は細胞接着時に、細胞と接する面積が小さいため、細胞へのダメージも小さく、その構造ゆえに膜内の小孔に徐放剤をはじめとする様々な極小物質を蓄えることができる。加えて、新規徐放剤を作成し、至適因子を持続的に供給することで、より生体に近い機能を獲得させる。組織前駆細胞を対象とする細胞の研究領域と、バイオエンジニアリングと呼ばれる人工生体物質を対象とする領域、それぞれを融合することでより革新的でかつ速やかな臨床応用ができる実用性の高い結果が得られると考える。
研究方法
①多孔質薄膜の最適化
 高湿度環境下で、生分解性高分子の非水溶性有機溶媒の希薄溶液をガラスシャーレ上にキャストすることで多孔質薄膜の作製を行った。
②新規徐放剤の作製
 架橋ゼラチンハイドロゲルを蒸留水で洗浄後、凍結乾燥を行った。凍結乾燥ハイドロゲルを用い成長因子含浸ゼラチンハイドロゲルを得た。
③細胞、培養条件の最適条件の検討
 上記の多孔質薄膜の最適化に加え、それぞれの条件のもと、培養細胞や、培養条件を検討した。
④研究成果に基づく人工皮膚を作製、および創傷治癒に対する効果の検討
 上記のように作製した人工皮膚を用いて、マウス皮膚創傷部に被覆し、創傷治癒への関与も検討した。
結果と考察
①多孔質薄膜の最適化
 多孔質薄膜は孔径3ミクロンの膜を用いた場合、細胞増殖や細胞外マトリックス産生量が向上することが分かった。
②新規徐放剤の作製
 成長因子のハイドロゲルからのin vivoにおける徐放試験を行ったところ、それぞれの成長因子がハイドロゲルから徐放されること、また、その徐放期間がハイドロゲルの分解期間によって、コントロールできることがわかった。
③細胞、培養条件の最適条件の検討
 上記の多孔質薄膜の最適化に加え、それぞれの条件のもと、培養細胞や、培養条件を検討し、それぞれの最適条件も明らかにした。
④研究成果に基づく人工皮膚を作製、および創傷治癒に対する効果の検討
 ヒト由来細胞から作製した人工皮膚を、免疫不全マウス背部に被覆し、創傷治癒過程への影響を検討した。人工皮膚被覆創傷は、有意に創傷治癒が促進した。
結論
 今回の研究で、新規多孔質薄膜および新規徐放剤を用いた人工皮膚を作成した。加えてこの人工膜は創処治癒を促進させることを明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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