組織幹細胞賦活化による心血管再生療法の開発

文献情報

文献番号
200500188A
報告書区分
総括
研究課題名
組織幹細胞賦活化による心血管再生療法の開発
課題番号
H17-再生-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐田 政隆(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 平田 恭信(東京大学 医学部附属病院 )
  • 杉浦 清了(東京大学大学院・新領域創成科学研究科環境学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
合成化合物、ONO-1301は組織幹細胞制御因子の発現を亢進させる。本研究では、この化合物を粒子に封入し、障害心筋に局所的に持続投与する技術を開発した。また、その有効性の分子機序について検討した。
研究方法
(1)ONO-1301の徐放剤(ONO-1301MS)を作製し、マウスの心筋梗塞モデルの虚血心筋に直接注射した。
(2)家畜用ブタ冠動脈回旋枝根部に、アメロイドコンストリクターを移植した。開胸手術による心外膜側からのONO1301-MSの直接投与した。
結果と考察
(1)心筋梗塞後7日目において、虚血部位の毛細血管密度の増加を認め、抗VEGF中和抗体の同時投与により、毛細血管密度の増加は抑制された。また、虚血部のHGFおよびVEGFのmRNAの発現の上昇を認めた。心筋梗塞後28日の生存率はコントロールに比較し、改善傾向にあった。心エコー図検査において、左室の拡大、収縮能の低下はONO-1301MSにより抑制された。組織学的検査では、残存心筋細胞の肥大、間質の線維化は抑制され、ONO-1301MSの局所投与により梗塞後心筋リモデリングは有意に抑制されたと考えられた。抗VEGF中和抗体の投与で、ONO-1301の効果が認められなくなったことから、ONO-1301による血管新生促進作用の少なくとも一部は、VEGFの発現促進によると考えられた。
(2)ONO1301-MSの直接投与により、心機能は有意に改善し、NOGAシステムにより測定された虚血部位の壁運動・電位ともに改善していた。
結論
 ONO-1301の虚血心筋でも血管新生促進作用の効果と作用機序が明らかとなった。今後、最低限の副作用で、最大の効果を得るため、剤型、投与経路、投与量、投与頻度などをさらに検討が必要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-