アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500180A
報告書区分
総括
研究課題名
アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植療法の開発に関する研究
課題番号
H16-再生-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
神田 善伸(東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 実根(九州大学大学院病態修復内科学)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院医学系研究科細胞移植学血液内科学)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合連合会虎の門病院血液科)
  • 鈴木 憲史(日本赤十字社医療センター、血液内科)
  • 森 慎一郎(国立がんセンター中央病院特殊治療部)
  • 千葉 滋(東京大学医学部附属病院・無菌治療部)
  • 小川 誠司(東京大学医学部造血再生医療寄附講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、他に有効な治療法を持たない造血器疾患患者で、かつ、HLA適合または一座不一致の血縁・非血縁ドナーを有さない患者を対象とし、アレムツズマブを用いて移植片拒絶と重症のGVHDを防ぐことによって、HLA二座以上不一致の血縁ドナーからの同種造血幹細胞移植を安全に行うことが可能であることを示すことである。また、アレムツズマブは本邦未承認薬であるため、本臨床試験は改正GCP(good clinical practice)基準に則って医師主導治験として行う。アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致血縁者間移植の安全性と有効性が証明された場合には、本試験で品質保証されたデータに基づいてアレムツズマムの移植前処置薬としての適応承認申請を行い、多くの国民に利益をもたらすことを目的とする。
研究方法
移植前処置は、自家移植の既往のない55歳未満の患者においては通常の移植で行われるシクロホスファミドと全身放射線照射に加えてアレムツズマブを6日間併用する。自家移植の既往のある患者あるいは55歳以上の高齢患者においては、フルダラビン、ブスルファン、少線量全身放射線照射とアレムツズマブを併用する。主要評価項目は移植後60日以内の生着不全およびグレードIII以上の急性GVHDの発症率とする。アレムツズマブの投与量は0.20 mg/kg/dayから開始し、分担研究者の大橋靖雄らが開発した方法により、連続再評価法に従って逐次投与量を変更し、推奨用量を決定する。
結果と考察
東京大学医学部附属病院無菌治療部で同治療法のパイロット試験を行った。18症例に対してHLA二座以上不一致血縁者間移植を行い、グレードIII以上の急性GVHD発症頻度を1例のみに抑制することに成功した。そこで、本試験では改正GCP基準に則った医師主導治験として行うことにより、アレムツズマブの適応承認申請を行う。平成16年11月に治験届を提出し、平成17年1月に治験を開始した。平成17年に順調に3症例が登録され、観察期間、データ固定期間となり、登録を一旦中止した。最終的にこの3症例がいずれも治療の成功基準を満たしていることが確認されたため、効果安全性評価委員会の諮問の上、アレムツズマブの投与量を0.16 mg/kg/dayに減量し、患者登録を再開した。
結論
本試験の結果として、アレムツズマブを用いることによってHLA不一致同種造血幹細胞移植の安全性が高まることが示されれば、適切なドナーがいないために移植を受けることが出来ない多くの患者についても、同種造血幹細胞移植療法を適応することが可能となる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-