文献情報
文献番号
200500176A
報告書区分
総括
研究課題名
組織工学的手法を用いた気道再生の基礎的・臨床的研究
課題番号
H16-再生-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大森 孝一(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 挾間 章博(福島県立医科大学医学部生理学第一講座)
- 中村 達雄(京都大学再生医科学研究所)
- 金丸 眞一(京都大学医学部耳鼻咽喉科)
- 小川 洋(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 桑畑 直史(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 松塚 崇(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
- 多田 靖宏(福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は気道の臓器の機能的再生をはかり、気道病変切除後の呼吸、嚥下、発声、構音の機能障害を回避し、Quality of Lifeの向上を実現することにある。
研究方法
(基礎的研究)①人工材料の安全性の確認のためにビーグル犬の気管の引張試験や圧縮試験を行う。移植気管上皮細胞の機能評価の充実として、アクアポリンとイオンチャネルの発現を評価する。ハイブリッド人工材料の改良を目指し、移植に適した線維芽細胞について検討する。②コラーゲンスポンジ層に各種細胞を付加してラットに移植し、上皮層と上皮下層の形成過程を評価する。将来的な臨床応用のために、ヒト組織の培養に取り組む。
(臨床的研究)①における基礎的研究の成果を基盤とし、倫理委員会の承認のもと喉頭・期間の再生治療を臨床応用する。癌および気道狭窄における気道切除後の欠損に対して、開発した人工材料を移植し、術後にビデオ電子スコープやCTなどで再生した気道内腔組織の形態を評価する。
(臨床的研究)①における基礎的研究の成果を基盤とし、倫理委員会の承認のもと喉頭・期間の再生治療を臨床応用する。癌および気道狭窄における気道切除後の欠損に対して、開発した人工材料を移植し、術後にビデオ電子スコープやCTなどで再生した気道内腔組織の形態を評価する。
結果と考察
(基礎的研究)①ビーグル犬の気管における引張試験や圧縮試験を行い、正常気管の特性を確認し開発した人工気管は同等の強度を持つことが確認できた。移植気管上皮細胞にはアクアポリンとイオンチャネルの発現を認め物質輸送能は保持することがわかった。移植に適した線維芽細胞の検討では、口腔由来細胞において立方上皮と円柱上皮による多列線毛上皮層を形成することがわかった。②コラーゲンスポンジ層に口腔由来線維芽細胞を付加し、さらに内腔面に脂肪組織由来細胞群から分離培養した細胞を付加してラットに移植した結果、気管欠損部の上皮化と粘膜下組織の再生を確認できた。ヒト組織の採取・培養法を確立した。移植した人工材料状の上皮化には線維芽細胞は効果的に作用することがわかった。今後さらにこれらの手法の実用化を目指した研究が必要である。
(臨床的研究)これまでの気道再生研究の成果をもとに,本再生医療を現在まで6例に施行し、最長3年3ヵ月の観察で全例経過良好であり機能障害無く社会復帰が可能であった。しかし、現在も上皮化には約2ヵ月を要しており今後も上皮化の促進は改善すべき重要な課題である。
(臨床的研究)これまでの気道再生研究の成果をもとに,本再生医療を現在まで6例に施行し、最長3年3ヵ月の観察で全例経過良好であり機能障害無く社会復帰が可能であった。しかし、現在も上皮化には約2ヵ月を要しており今後も上皮化の促進は改善すべき重要な課題である。
結論
本研究により、気道の再生治療が十分期待の持てることを明らかにした。今後は、一般医療として普及するように人工材料の安定供給、安全性の確保、技術の向上、長期的な評価について継続した研究を積み重ねていくことが重要である。
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
-