間葉系幹細胞を利用した造血幹細胞移植技術の高度化・安全性向上に関する研究

文献情報

文献番号
200500173A
報告書区分
総括
研究課題名
間葉系幹細胞を利用した造血幹細胞移植技術の高度化・安全性向上に関する研究
課題番号
H17-再生-017
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 久米 晃啓(自治医科大学医学部)
  • 花園 豊(自治医科大学医学部)
  • 長谷川 護(ディナベック株式会社ベクター開発)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
造血幹細胞移植の高度化、安全化を図る目的で、以下の3つの研究を実施した。1)間葉系幹細胞の造血支持とGVHD抑制のメカニズムを探ることを目的とした、間葉系幹細胞の網羅的遺伝子発現解析、2)サルの造血幹細胞移植において、間葉系幹細胞共移植による生着促進効果の検討、3)マウス疾患モデル上で、ヒト型選択的増幅遺伝子(SAG)を用いた遺伝子導入細胞の体内増幅に関する検討。
研究方法
1)C3H10T1/2分化誘導系を間葉系幹細胞のモデル細胞株として使用し、DNAマイクロアレイによる、遺伝子発現の網羅的解析を施行した。2)サルの骨髄移植の系で間葉系幹細胞を共移植して、造血系細胞の回復の促進が見られるかどうか、遺伝子マーキングの技術を応用して検討した。3)慢性肉芽腫症(CGD)モデルマウスの系で、レトロウイルスベクターを用いて様々な構築のヒト型SAGを導入した造血幹細胞を移植し、SAGシステムを働かせることにより遺伝子導入細胞の体内増幅が効率よく得られるかどうか検討した。
結果と考察
1)親株では分化抑制因子と思われる遺伝子の発現が、前脂肪細胞株ではSCF, SDF-1, Angiopoietin-1といった造血因子の発現が確認された。これらの遺伝子が間葉系幹細胞の未分化能維持と造血支持に関係している可能性が示唆された。また、免疫抑制に関わる分子としては、TGF-beta2の発現が前脂肪細胞株で認められた。2)サルの骨髄移植の系で間葉系幹細胞の共移植によって、単独移植に比べて生着が促進されるという結果を得た。今後、確認実験が必要である。3)種々の構築のヒト型SAGの働きをマウスの系で検討し、至適のものを明らかにした。
結論
1)間葉系幹細胞のモデル細胞株を用いて網羅的遺伝子発現解析を施行し、造血支持に関与する造血因子の候補を明らかにした。2)サルを用いた骨髄移植の系で、間葉系幹細胞の共移植の有効性を検討した。3)臨床に用いる予定のヒト型SAGを構築し、その有効性をマウスの系で示した。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
-