文献情報
文献番号
200500170A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性腎障害の重症化防止を目的とした幹細胞移植による残存腎機能再構築
課題番号
H17-再生-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(国立長寿医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 篠崎 尚史(東京歯科大学 市川総合病院 角膜センター)
- 菅谷 健(東京歯科大学 市川総合病院 角膜センター)
- 室原 豊明(名古屋大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
- 小野 佳成(名古屋大学大学院 医学系研究科 泌尿器科学)
- 松尾 清一(名古屋大学大学院 医学系研究科 腎臓内科学)
- 山本 徳則(名古屋大学大学院 医学系研究科 泌尿器科学)
- 槇野 博史(岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 腎・免疫・内分泌代謝内科学)
- 野入 英世(東京大学医学部附属病院 血液浄化療法部)
- 谷口 英樹(横浜市立大学大学院 医学研究科 臓器再生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、近年医療経済学的にも重大な問題となっている新規透析導入患者の増加、即ち腎障害の重症化を、幹細胞移植による残存腎機能再構築により防止すべく、幹細胞移植プロセスの標準化と安全性評価方法の確立を目指す実用化研究である。
研究方法
実用化段階の再生医療には角膜移植と同等のプロセスバリデーションの適応が求められる。本研究事業においては、1)骨髄/末梢血幹細胞移植チーム、2)組織特異的幹細胞移植チーム、3)セルプロセシングチームの相互連携により、施設間の移植細胞輸送や移植プロセスの共有化を図る。
結果と考察
1)骨髄/末梢血幹細胞移植チーム
ラットCisplatin腎症への経静脈的な細胞移植法の最適化検討を行いG-CSFとの相乗的な治療効果を確認した。さらに重症化モデルとして高食塩負荷Doxorubicin腎症を作製した。今後、骨髄/末梢血幹細胞に加え、間葉系幹細胞移植による進行性腎障害モデルでの検討を経て、ヒトへの幹細胞移植の安全性評価と進行性腎障害患者への投与経路の検討を行う。
2)組織特異的幹細胞移植チーム
ラット腎幹細胞rKS56(特願2003)を急性腎不全モデルに移植、腎組織への広範囲の生着を確認し、権威ある医学研究雑誌に報告した(FASEB J, 2005)。また、独自に樹立したマウス腎幹細胞mProx24SPについても致死性のCisplatin腎症に対し、細胞移植による50%以上の生存率向上を達成した。今後、慢性腎疾患モデルでの治療効果の確認後、同チームで並行して進めるヒト尿中由来幹細胞の形質維持因子を治療に併用することにより培養系の完全ヒト化検討を行う。
3)セルプロセシングチーム
マウス腎幹細胞をセルソーターにより単離、SP分画を継代維持する培養方法の標準化に成功した。またイヌ尿中から腎幹/前駆細胞を単離培養し、自家移植により急性腎不全に対する治療を開始した。さらに、ヒト腎疾患患者尿中からバイオマーカーを用いて腎幹/前駆細胞を効率的に単離培養し、異種移植による腎組織への生着を確認した。今後、安全性検査を実施するとともに、ヒト腎組織特異的幹細胞の単離に際しては、品質管理に有用なバイオマーカーを用いた評価法を確立する。
ラットCisplatin腎症への経静脈的な細胞移植法の最適化検討を行いG-CSFとの相乗的な治療効果を確認した。さらに重症化モデルとして高食塩負荷Doxorubicin腎症を作製した。今後、骨髄/末梢血幹細胞に加え、間葉系幹細胞移植による進行性腎障害モデルでの検討を経て、ヒトへの幹細胞移植の安全性評価と進行性腎障害患者への投与経路の検討を行う。
2)組織特異的幹細胞移植チーム
ラット腎幹細胞rKS56(特願2003)を急性腎不全モデルに移植、腎組織への広範囲の生着を確認し、権威ある医学研究雑誌に報告した(FASEB J, 2005)。また、独自に樹立したマウス腎幹細胞mProx24SPについても致死性のCisplatin腎症に対し、細胞移植による50%以上の生存率向上を達成した。今後、慢性腎疾患モデルでの治療効果の確認後、同チームで並行して進めるヒト尿中由来幹細胞の形質維持因子を治療に併用することにより培養系の完全ヒト化検討を行う。
3)セルプロセシングチーム
マウス腎幹細胞をセルソーターにより単離、SP分画を継代維持する培養方法の標準化に成功した。またイヌ尿中から腎幹/前駆細胞を単離培養し、自家移植により急性腎不全に対する治療を開始した。さらに、ヒト腎疾患患者尿中からバイオマーカーを用いて腎幹/前駆細胞を効率的に単離培養し、異種移植による腎組織への生着を確認した。今後、安全性検査を実施するとともに、ヒト腎組織特異的幹細胞の単離に際しては、品質管理に有用なバイオマーカーを用いた評価法を確立する。
結論
本研究事業初年度に開発された腎幹/前駆細胞の単離、培養方法により、腎疾患治療に有効な移植細胞の工程管理が可能となると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
-