間葉系幹細胞を用いた心筋血管再生療法の基礎及び臨床研究

文献情報

文献番号
200500169A
報告書区分
総括
研究課題名
間葉系幹細胞を用いた心筋血管再生療法の基礎及び臨床研究
課題番号
H17-再生-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
北村 惣一郎(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 永谷 憲歳(国立循環器病センター研究所先進医工学センター再生医療部)
  • 大串 始(産業技術総合研究所セルエンジニアリング研究部門・再生医療技術開発)
  • 竹下 聡(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 清水 達也(東京女子医科大学・先端生命医科学研究所・再生医療)
  • 盛 英三(国立循環器病センター研究所 心臓生理部)
  • 宮武 邦夫(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病センター 臓器移植部)
  • 八木原 俊克(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 山岸 正和(金沢大学大学院医学系研究科)
  • 小林 順二郎(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 清水 渉(国立循環器病センター心臓血管内科)
  • 西川 雄大(国立循環器病センター研究所先進治療機器開発室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
37,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療技術が進歩した現在においても虚血性心疾患、脳虚血疾患は常に死因の上位を占め、また高額な医療費の原因にもなっている。近年、アドレノメデユリン(AM)にはさまざまな心血管保護効果があることが報告された。我々は前年度(平成16年度)に、心筋および脳の保護効果が動物実験で明らかにした。本年度は、また急性心筋梗塞や脳梗塞に対するAMの治療薬としての可能性を検討するために、実際に急性心筋梗塞患者や脳梗塞患者にAMを投与して安全性を検討することを主な目的とした。
研究方法
AMによる虚血心筋保護作用の検討として、初回急性心筋梗塞症例11人を対象にパイロット臨床試験を行い、虚血心筋保護効果と投与の安全性を検討した。また、脳虚血保護作用の検討するために軽症の脳梗塞既往者を対象に、化学合成AMの持続投与を行い、脳血流、代謝を含む血行動態、各種液性因子の変化を検討した。
結果と考察
前年度に行った動物実験の結果をふまえて、本年度は急性心筋梗塞や脳梗塞を対象に臨床試験を行った。急性心筋梗塞患者への急性期に低濃度と高農道のAMを静脈内投与し、低濃度AM群では血圧の著明な低下をきたすことなく12時間の投与が行えることが分った。また、過去の蓄積データとの比較によりAMの心筋保護効果が示された。再灌流療法が普及した現在においても急性心筋梗塞後の心筋保護・再灌流障害抑制は不十分である。AMはこれらの心筋障害を著明に抑制する可能性があり、今後はパイロット研究の結果を無作為化二重盲検試験で検証していく。また、前年度の動物実験をふまえ、AMの脳梗塞治療に関する探索的臨床研究を開始した。基礎および臨床研究の結果より、AMが虚血脳において血管再生作用ならびに神経保護再生作用を発揮すること、また脳硬塞患者へのAM投与の安全性が示され、AM投与が新たな脳梗塞治療法となる可能性が示唆された。
結論
本年度は、急性心筋梗塞患者に対するパイロット臨床研究を行い急性心筋梗塞に対する画期的治療法となる可能性を示した。またAMの脳梗塞治療に関する探索的臨床研究を行い、安全性を証明した。最終年度は、急性心筋梗塞と脳梗塞に対象を絞り、比較臨床試験にてAM投与の安全性と有効性のさらなる検討を行っていく。

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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