心筋組織再生のための集約的研究

文献情報

文献番号
200500168A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋組織再生のための集約的研究
課題番号
H17-再生-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
研究分担者(所属機関)
  • 永井 敏雄(千葉大学医学部附属病院循環器内科)
  • 南野 徹(千葉大学医学部附属病院循環器内科)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター生殖医療研究部・生殖病理学)
  • 望月 直樹(国立循環器病センター研究所循環器形態部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、様々な臓器由来のヒト間葉系幹細胞株を効率よく心筋細胞に分化させる方法の確立、骨髄間葉系細胞を心筋細胞に分化誘導する分泌分子の単離精製とin vivoでの効果の検討、②心臓幹細胞である心臓SP細胞の心筋細胞への分化誘導、③移植組織の血管新生の機序と促進因子の同定である。 
研究方法
心筋易誘導細胞の抽出:心筋易誘導細胞に発現している抗原に対する抗体を用いてFACSによるsortingを行った。心筋誘導率の算定と機能評価:活動電位記録と、Video image解析装置により定量的に評価した。血管新生因子の同定: VE-cadherin/EGFPマウスの左冠状動脈を結紮して、数日後から骨髄と虚血部位でのGFP陽性細胞数と表面抗原特性を検討した。心臓SP細胞: 新生仔ラット心臓SP細胞を分取してオキシトシンまたはトリコスタチンAにより、心筋細胞へ分化するか検討した。OP9培養上清中に存在する心筋細胞分化誘導因子の同定: signal sequence trap法を用いてOP9細胞から分泌される分子のクローニングを行い,その中から心筋細胞分化誘導活性をもつ蛋白の単離同定を試みた。
結果と考察
心筋易誘導細胞に発現している抗原は確認できたが、FACSによる検討では明瞭な分画は得られず、抗原がトリプシン処理で消滅している可能性があった。誘導心筋細胞の細胞収縮速度、収縮持続時間、収縮長を数値化し、具体的な機能解析を可能とした。VE-cadherin/EGFPマウス心筋梗塞モデルでは梗塞部位のGFP陽性細胞の多くがCD45またはCD31陽性であり、血球と内皮細胞の性格をもつヘマンジオブラストである可能性が示唆された。心臓SP細胞はオキシトシンおよびトリコスタチンAにより自律拍動する心筋細胞へ分化し、心臓SP細胞は幹細胞分画であった。分泌蛋白(X因子)がES細胞やP19細胞の心筋細胞への分化を著明に亢進した。今後、X因子が心筋細胞誘導をおこすメカニズムについて検討する必要がある。
結論
骨髄以外の組織由来のヒト間葉系幹細胞は、高い心筋分化能力を有している。心筋虚血において、成体のヘマンジオブラスト様の細胞が血管新生にかかわる可能性がある。心筋SP細胞は心筋細胞にin vitroで分化誘導可能であり、心筋幹/前駆細胞を含む分画である。OP9細胞から分泌される因子Xは心筋細胞分化誘導活性を有している。 

公開日・更新日

公開日
2006-07-20
更新日
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