文献情報
文献番号
200500167A
報告書区分
総括
研究課題名
体外衝撃波を用いた急性心筋梗塞に対する非侵襲性治療法の開発
課題番号
H17-再生-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
下川 宏明(東北大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 市来 俊弘(九州大学病院)
- 久保田 徹(九州大学大学院 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我々は、低出力衝撃波が血管新生作用を有し、また内皮からの一酸化窒素(NO)産生促進作用などを介した抗炎症作用を有することに着目し、低出力を用いた体外衝撃波治療が重症狭心症の治療法として有効かつ安全であることを動物モデル(ブタ)および狭心症患者において明らかにしてきた。
本研究では、この低出力衝撃波を用いた体外式血管新生療法が急性心筋梗塞にも有用かつ安全であるかを検討し、最終的には臨床応用を目指す。
本研究では、この低出力衝撃波を用いた体外式血管新生療法が急性心筋梗塞にも有用かつ安全であるかを検討し、最終的には臨床応用を目指す。
研究方法
正常雄家畜ブタ(体重25?30 kg)
(1)急性心筋梗塞の作成:清潔手術下に全身麻酔・開胸し、左冠動脈回旋枝近位部を完全に結紮し、急性心筋梗塞を作成。冠動脈造影・左室造影・心エコー・心筋血流測定(マイクロスフェア法)・組織学的な血管数の評価を、心筋梗塞作成後と衝撃波治療4週間後に行い、衝撃波治療の効果について検討を行った。
(2)体外衝撃波治療:治療は、急性心筋梗塞作成3日後と28日後から開始する2つのプロトコールを検討し、各群に、衝撃波治療は行わないがその他の手技は同様に行う対照群を設けた(各群n=5)。体外衝撃波は、梗塞周辺部にレベル3(0.09 mJ/mm2)の出力で最大20カ所まで、1カ所あたり200発の照射を行った。この治療を隔日に計3回行った。
(1)急性心筋梗塞の作成:清潔手術下に全身麻酔・開胸し、左冠動脈回旋枝近位部を完全に結紮し、急性心筋梗塞を作成。冠動脈造影・左室造影・心エコー・心筋血流測定(マイクロスフェア法)・組織学的な血管数の評価を、心筋梗塞作成後と衝撃波治療4週間後に行い、衝撃波治療の効果について検討を行った。
(2)体外衝撃波治療:治療は、急性心筋梗塞作成3日後と28日後から開始する2つのプロトコールを検討し、各群に、衝撃波治療は行わないがその他の手技は同様に行う対照群を設けた(各群n=5)。体外衝撃波は、梗塞周辺部にレベル3(0.09 mJ/mm2)の出力で最大20カ所まで、1カ所あたり200発の照射を行った。この治療を隔日に計3回行った。
結果と考察
[結果](1)左室リモデリング:対照群では、急性心筋梗塞慢性期(4・8 週間後)に左室容量が有意に増大したが、衝撃波治療を3日後から開始した群では、そうした左室リモデリングが有意に抑制された。これに対して、衝撃波治療を28日後から開始した群では効果が認められなかった。(2)左室造影・心エコー:対照群では心筋梗塞の慢性期に左室収縮能が有意に低下したが、衝撃波治療を3日後から開始した群では心機能低下が有意に抑制され、28日後から開始した群ではそうした抑制効果は認められなかった。(3)心筋血流・冠微少血管数:衝撃波治療を3日後から開始した群においては、対照群に比し、梗塞周辺部の血流が有意に増加し、血管数も有意に増加していた。(4)副作用:手技に伴う副作用は全く認められなかった。
[考察] 低出力体外衝撃波治療は、急性心筋梗塞3日後から開始すると、血管新生等の機序を介して、慢性期の心室リモデリングや心不全の発症を抑制する可能性が示唆された。
[考察] 低出力体外衝撃波治療は、急性心筋梗塞3日後から開始すると、血管新生等の機序を介して、慢性期の心室リモデリングや心不全の発症を抑制する可能性が示唆された。
結論
本研究により、発症後3日目から体外衝撃波治療を行うと、慢性期の心室リモデリングや心不全の発症が軽減されることが示された。
公開日・更新日
公開日
2006-07-20
更新日
-