再生医療等の先端医療分野におけるインフォームド・コンセント取得と生命倫理に関する研究

文献情報

文献番号
200500164A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療等の先端医療分野におけるインフォームド・コンセント取得と生命倫理に関する研究
課題番号
H17-生命-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
横出 正之(京都大学医学部附属病院探索医療臨床部)
研究分担者(所属機関)
  • 村山 敏典(京都大学医学部附属病院探索医療臨床部)
  • 伊藤 良子(京都大学大学院教育学研究科臨床心理実践学講座)
  • 小杉 眞司(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康管理学医療倫理学)
  • 清水 章(京都大学医学部附属病院探索医療開発部)
  • 手良向 聡(京都大学医学部附属病院探索医療検証部)
  • 坂東 委久代(京都大学医学部附属病院探索医療臨床部)
  • 松山 晶子(京都大学医学部附属病院探索医療検証部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先端医療における一番の問題点は各医療機関の倫理審査委員会の審査基準に統一性がなく、十分な審議をされぬまま承認されうる危険性である。また、ただでさえ難病に直面して精神状態が不安定である被験者に複雑多岐な説明を行って、はたして有効なインフォームド・コンセント(IC)を得ることができるかどうかが疑問である。このような問題を解決するために、多方面の研究者や倫理委員会委員、臨床心理士を含むコメディカル、市民代表等を招いて、医療倫理に関するフォーラムを開催し、集学的かつ社会に開かれた討議に基づき、臨床心理学的視点を含めた指針作りを目指す。
研究方法
京都大学探索医療センターとともに探索的医療の推進に力を入れている東京大医科研、名古屋大、大阪大、九州大、先端医療センターが中心になり、平成14年度にトランスレーショナルリサーチ(TR)懇話会が発足して、このなかで共通倫理審査指針案が作成された。われわれはこのTR懇話会を基盤にTR研究会という組織を構築し、探索医療を志す研究者・医療機関に広く門戸を広げて、共通倫理審査指針、治験審査委員会(IRB)と倫理委員会との関係、中央IRB構想、医学領域における個人情報保護 などについて議論を深める。
結果と考察
平成17年10月に20施設から80人の研究者を迎えて第3回TR研究会を開催し、自主臨床試験における補償・賠償問題についてシンポジウムを企画し、どのように被験者を倫理的に擁護するかについて多方面の識者を招いて議論を深めた。平成18年3月には、市民公開シンポジウム「ここが知りたい。医療倫理とインフォームドコンセント。」を開講し、医療倫理に関する市民の啓蒙と意見交換の場を持つことができた。その他各班員が専門性を生かしたアプローチを行うことにより、有機的な研究組織の構築を可能にして、問題提起・解決の足場作りができた。
結論
第3回TR研究会に参加した各研究者が情報交換の場がないことを痛感しており、今後さらにこの会を発展させて、現在自主規制に頼らざるをえない自主臨床試験を倫理的に進める方策を研鑽する場としたい。また、市民公開シンポジウムの開催を通じ、医療倫理は「わかりにくい」という声があるものの、一部の市民は強い関心を持っていることを再認識した。医療倫理やICは、日常診療でも重要な課題であるので、このような啓蒙活動を継続し、社会に真の利益が還元できる臨床研究を目指していきたい。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
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