ゲノムリテラシー向上のための人材育成と教育ツール開発に関する研究

文献情報

文献番号
200500163A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノムリテラシー向上のための人材育成と教育ツール開発に関する研究
課題番号
H17-生命-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
福嶋 義光(国立大学法人信州大学 医学部社会予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 櫻井 晃洋(国立大学法人信州大学 医学部社会予防医学講座 )
  • 千代 豪昭(お茶の水女子大学大学院人間文化研究科)
  • 玉井 真理子(国立大学法人信州大学 医学部保健学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ゲノムについての「国民および社会の理解の促進」のために最も適切な啓発活動を考案し,一地域において実践・評価したのち,全国的な事業計画を提案することを目的として研究を開始した.
研究方法
①わが国のゲノムリテラシーの現状を把握するために下記の調査,資料収集を行った.
1)遺伝に関する知識,意識を問う自記式アンケート調査
2) 高等学校の「生物」,「倫理および現代社会」で教えられている遺伝についての調査
3)医師養成のための教育課程における遺伝医学教育の実態調査(各大学の授業計画の解析)
4) 海外との比較(スウェーデンにおける科学教育)
② ①の結果を参考に到達目標を設定し,教育ツールを開発するとともに,それを用いた啓発活動の効果を調査した.
③ 「国民および社会の理解の促進」のために活動する人材として,認定遺伝カウンセラー制度の充実をはかるための活動を開始した.
④ わが国の遺伝子医療をめぐる問題についての情報交換,意見交換を行うために,全国遺伝子医療部門連絡会議を開催した.
結果と考察
わが国では十分な遺伝学教育がなされておらず,一般市民にとっては遺伝の問題は一部の人の問題であり,当事者意識は少ないこと,また優生学的な考え方をまだ多くの人が有していることを明らかにした.一般市民を対象とした啓発活動の到達目標を「遺伝」の問題を自分自身にも関係し得る身近な問題としてとらえることとし教育ツール(遺伝ドラマ「あなたのそばに」のビデオを上映し,その前後にパワーポイントを用いた解説,および参加者同士のディスカッションを組み合わせて行う)を開発した.この教育ツールを用いて,いくつかの集団(医療系民間企業社員約700名,市役所職員約100名,保健師約20名)を対象に実践活動を行い,その有効性についてもアンケート調査により確認できたので,今後多くの実践活動に利用するとともに,この教育ツールの普及に努力したい.
結論
 本研究はヒトゲノム・遺伝子解析研究の重要性および遺伝情報の特殊性とその意義について,国民および社会から理解を得るのに最も適切な教育・啓発活動を考案し,一地域においてその教育・啓発活動を実践・評価したのち,全国的な事業計画を提案することを目的として研究を開始したが,初年度としてはほぼ予定通りの成果をあげることができた.

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-