生活習慣病の鍵分子、アディポネクチン受容体の病態生理的意義と情報伝達経路の解明

文献情報

文献番号
200500154A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病の鍵分子、アディポネクチン受容体の病態生理的意義と情報伝達経路の解明
課題番号
H17-ゲノム-006
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山内 敏正(東京大学医学部附属病院統合的分子代謝疾患科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 窪田 直人(東京大学医学部附属病院統合的分子代謝疾患科学講座)
  • 植木 浩二郎(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
  • 門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)遺伝子改変マウスの解析によりアディポネクチン受容体の生理的・病態生理的意義を解明する。
(2)アディポネクチン受容体結合蛋白を同定し、それに基づいて細胞内情報伝達機構の解明を行う。
研究方法
(1)
肥満・2型糖尿病のモデルマウス肝臓においてAdipoR1, AdipoR2を過剰発現させて、糖・脂質代謝,アディポネクチンによるAMPキナーゼのリン酸化および各種遺伝子発現に対する影響を検討した。さらに、AdipoR1, AdipoR2の遺伝子欠損マウスを作成し、その表現型を解析することによりAdipoR1, AdipoR2の生理的意義を明らかにすることを試みる。

(2)
蛋白精製による同定の手法を用いて、アディポネクチン受容体細胞内結合蛋白質を同定し、アディポネクチン作用における機能・役割を明らかにする。
結果と考察
(1) AdipoR1の肝臓での過剰発現により、アディポネクチンによるAMPキナーゼの活性化が増強し,糖新生・脂肪合成に関わる分子の発現が低下した。AdipoR2の肝臓での過剰発現により、PPARαの標的遺伝子である脂肪燃焼・エネルギー消費に関わる分子の発現が増加した。AdipoR1またはAdipoR2の肝臓での過剰発現により、脂肪燃焼が促進され、糖尿病モデルマウスの耐糖能障害が改善した。
AdipoR1の欠損により, アディポネクチンによるAMPキナーゼの活性化が消失した。AdipoR1・AdipoR2のダブル欠損により,アディポネクチンの特異的結合、及びアディポネクチンによるAMPキナーゼの活性化が消失した。
(2) AdipoR1・R2とそれぞれ特異的あるいは、共通に結合する蛋白を複数個同定した。これらのうちいくつかは構造のドメイン情報などにより、下流のAMPキナーゼ・PPARαの活性化に関与する候補分子として優先的に機能解析を進めている。アディポネクチン受容体の細胞内情報伝達の鍵となる結合蛋白としてPPALなどを同定した。
結論
(1)遺伝子改変による機能解析により、AdipoR1はアディポネクチンによるAMP キナーゼ活性化の情報伝達経路と、 AdipoR2 は 肝臓においてPPARα活性化の経路と、それぞれより強くリンクしている可能性を明らかにした。
(2)アディポネクチン受容体の細胞内情報伝達の鍵となる結合蛋白としてPPALなどを同定した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-