遺伝性脊髄小脳変性症(16q-ADCA III)の分子病態解明

文献情報

文献番号
200500150A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝性脊髄小脳変性症(16q-ADCA III)の分子病態解明
課題番号
H17-ゲノム-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石川 欽也(東京医科歯科大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤英洋(東京医科歯科大学大学院脳神経病態学)
  • 常深泰司(東京医科歯科大学大学院脳神経病態学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、本邦に存在する原因不明の遺伝性脊髄小脳変性症の中では最も頻度が高いと考えられる、第16番染色体長腕に連鎖する常染色体優性遺伝性皮質性小脳萎縮症(16q-ADCAIII)の原因遺伝子を同定する目的に研究を行った。
研究方法
16q-ADCAIII の52家系を全国から集積し、共通するハプロタイプが存在する領域であるDNAマーカーGATA01から17msmまでの600キロベース(kb)の領域が最も有力な候補領域と考えられた。この領域に存在する21個の遺伝子について変異を探索した。
結果と考察
その結果、構造・機能とも詳細が不明の遺伝子(DKFZP434I216)の、翻訳開始直前16塩基の位置にあるシトシン(C)が患者では特異的にチミン(T)に置換していることを見出した。我々はこの遺伝子の構造や発現部位を解明し、新しく“puratrophin-1”と命名した。この遺伝子変化を有する家系は検索した全ての地方に分布し、頻度は本邦の優性遺伝性脊髄小脳変性症の15?20%を占めるほど高頻度であった。しかし、誌上公表後この遺伝子変化を有さず、ごく軽い運動失調を示す患者を1名見出した。
結論
以上のことからこの領域付近に存在する別の遺伝子に真の変異がある可能性は否定できず、さらに詳細な遺伝子変異の探索を行った。

公開日・更新日

公開日
2007-10-24
更新日
-