文献情報
文献番号
200500147A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者特発性造血障害の大規模ゲノミクス解析による病態解明
課題番号
H16-ゲノム-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学医学部 ゲノム機能研究部)
研究分担者(所属機関)
- 寺村 正尚(東京女子医科大学 血液内科)
- 湯尾 明(国立国際医療センター研究所 血液疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
42,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特発性造血障害は、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、発作性夜間血色素尿症(PNH)の3疾患群からなり、本邦における高齢者の最も主要な血液疾患となっている。我々は本研究計画において造血幹細胞バンク「Blast Bank」を設立し、骨髄異形成症候群の(1)分子診断、(2)発症機構の解明、(3)薬剤耐性獲得機構の解析、及び(4)新たなアプローチによる治療法の開発を目指す。
研究方法
(1)造血幹細胞特異的マーカーであるCD133に対するアフィニティカラムを用いて、白血病を含む各種特発性血液疾患患者骨髄より造血幹細胞分画を純化保存し、これをBlast Bankと名付けた。(2)末梢血好中球より蛋白質を抽出した後,二次元電気泳動を行った。発現量に差が認められるスポットの質量分析をMALDI-TOF/TOF MSを用いて行い,その蛋白質についてペプチドデーターベース(MASCOT)を用いて同定した。(3)HL-60、U937,WEHI3BD+細胞等の培養上清にビタミンDやPMAの添加、もしくはp21の強制発現を行い、細胞の分化を誘導した。
結果と考察
(1)Blast Bankを用いた大規模DNAチップ解析を行い、骨髄異形成症候群において病期の進展に伴って発現が変化する遺伝子セットを同定した。さらに進行期に発現が低下する遺伝子PIASyはがん抑制遺伝子としての機能があることを明らかにした。(2)MDS患者と正常者の末梢血好中球由来の蛋白の泳動パターンを解析ソフトで解析したところ,MDSにおいて明らかに高発現しているスポットが認められた。そのうちの2つはCapGおよびThiol-specific antioxident protein (TSA)であった。(3)HL60細胞の分化に伴い変化するタンパク質を質量分析計にてスクリーニングしたところ、増加した蛋白はCLIC1、Rho-GDI-2、GST-piであり、減少したスポットはいずれもSRp20であった。
結論
本研究事業において骨髄異形成症候群の大規模な純化細胞DNAチップ解析を行い、膨大な遺伝子発現データを得た。またプレテオミクス技術からMDS細胞を解析する事により蛋白質レベルでのMDSの異常を同定した。またこれら異常遺伝子・蛋白質を標的とした分子療法の開発に向けて基盤技術の開発に成功した。
公開日・更新日
公開日
2006-04-07
更新日
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