高齢者疾患の共通のリスクファクター・肥満を抑えるための新戦略

文献情報

文献番号
200500144A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者疾患の共通のリスクファクター・肥満を抑えるための新戦略
課題番号
H16-ゲノム-005
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
鍋島 陽一(京都大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 藤森 俊彦(京都大学 大学院医学研究科)
  • 伊村 明浩(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動脈硬化、高血圧、糖尿病などの加齢に伴って発症する疾患のリスクファクターである肥満や代謝異常におけるコレステロール代謝、グルコース代謝、カルシウム代謝の関与を解明し、加齢疾患の発症予防、老化遅延、健康老化の実現を目指すものである。
研究方法
FGF19, 21,あるいは23 がコレステロール代謝制御、グルコース代謝制御、カルシウム代謝制御を制御する機構にβ-Klotho、Klothoがどのように関与しているかを解析するためにレポーター遺伝子を導入したHec293細胞を入手し、それにKlotho、あるいはβ-Klotho発現ベクターを導入し、一方、培地にFGF19, 21,あるいは23を添加し、そのシグナル伝達をLuc活性を測定することで解析した。
β-Klotho遺伝子多型、FGF19,21,23の遺伝子多型解析についてゲノムセンターと協力してシークエンス解析を開始し、疾患との相互作用解析の準備を行った。
β-Klothoノックアウトマウスの老化遅延、寿命延長に関する研究を進めた。
結果と考察
循環しているFGF19, 21, 23がどのようにしてターゲット細胞の受容体を特異的に認識してシグナルを伝えるかは謎とされてきたが、この制御機構にKlotho、β-Klothoが関与していることを示唆する結果を得た。
β-Klothoが関与するシグナル伝達プロセスを制御することがコレステロール代謝改善、グルコース代謝改善につながることを示唆した。この結果をin vitroで解析するために効率的なアッセイシステムを構築し、β-Klotho、Klothoの機能をターゲットとした薬剤や抗体の開発に道を開いた。
結論
β-Klothoノックアウトの変異表現型はFGFR4(FGF19がリガンド)ノックアウトマウスのそれとそっくりであること、FGF23ノックアウトマウスの変異表現型がKlotho変異マウスのそれと極めて類似していることを見いだした。β-KlothoとFGF19がコレステロール代謝を、β KlothoとFGF21がグルコース代謝を、そしてKlothoとFGF23がカルシウム代謝を制御していることが示唆された。 β-Klothoノックアウトの寿命延長について検討したが、明瞭な寿命延長を示唆する結果は得られていない。FGFシグナルが入った時にルシフェラーゼが活性化されるシステムを入手し、FGF19, FGF21のシグナルが伝わることを確認した。

公開日・更新日

公開日
2006-05-10
更新日
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