アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した遺伝子治療法の開発研究

文献情報

文献番号
200500139A
報告書区分
総括
研究課題名
アデノ随伴ウイルス(AAV)を利用した遺伝子治療法の開発研究
課題番号
H17-遺伝子-001
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 敬也(自治医科大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 水上 浩明(自治医科大学 医学部)
  • 竹内 隆正(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
非病原性AAVを利用した遺伝子導入法は安全性に優れており、以下の3つの研究を実施した。1)新規AAVベクター作製法(バキュロウイルスを利用する方法)の実用化開発と、AAVベクターの特徴を活かした遺伝子治療法の開発、2)AAVのユニークな特徴を利用した第19番染色体部位(AAVS1)特異的遺伝子組込み法の応用開発、3)野生型AAVゲノムが組み込まれるAAVS1のinsulatorとしての機能に関する解析、などを行った。
研究方法
1)(i)バキュロウイルス法による8型AAVベクター作製条件を検討した。(ii) IL-10の体内持続発現による動脈硬化防止機序について、IL-10による血清コレステロール値低下作用を培養肝細胞の系で解析した。(iii)免疫反応の評価法の確立、AAVベクターによる樹状細胞への遺伝子導入を行った。2)ITRとRepを用いた部位特異的遺伝子組込み法を間葉系幹細胞(MSC)へ応用した。また、必要とされるITRの最小配列を同定する実験を行った。3)AAVS1内のenhancer blocking活性に重要な配列の同定を行った。
結果と考察
1)(i)VP1の開始コドンとしてCTGを用いると、AAV-8ベクターを効率良く作製できた。 (ii) 網羅的遺伝子発現解析により、IL-10が脂質代謝系に対して多面的に作用することが示唆された。(iii) ELISA法による抗体測定、中和抗体の力価測定法を確立した。樹状細胞には、5型AAVベクターによる遺伝子導入効率が非常に高いことを見出した。2)MSCに対して、AAVS1特異的に遺伝子を組み込ませることができた。ITRを半分に削ってもAAVS1特異的組込み能を保持していた。3)AAVS1内のenhancer blocking活性に重要な配列にAP2が結合した。insulator配列を搭載したゲノム組込型ウイルスベクターは、長期遺伝子発現と安全性向上に役立つと思われる。
結論
1)バキュロウイルス法による8型AAVベクター作製法を確立した。IL-10の脂質代謝への作用が示された。免疫反応に関して解析系を確立した。樹状細胞への遺伝子導入にはAAV5ベクターの効率が高かった。2)MSCへの部位特異的遺伝子組込み法を行った。3)AAVS1のinsulator機能を解析した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-