新しい時代の感染症対策のための医療従事者の教育システム開発に関する研究

文献情報

文献番号
199700011A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい時代の感染症対策のための医療従事者の教育システム開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
竹田 美文(国立国際医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生行政科学研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の感染症を取り巻く状況として、エイズ、エボラ出血熱等の新興感染症やこれまで制圧したと考えられていた結核、マラリア等の再興感染症が世界的に問 
題となっている。国際交流の活発化や航空機による迅速大量輸送により、感染症は地球上のあらゆる地域から、事例は稀であっても、短時間のうちに国内に持ち込まれる 
おそれがあること、また水際防疫により海外からの感染症の侵入を防ぐことには限界があること等から、我が国においても、感染症の流行に備えて新しい対策を確立する 
必要がある。
こうした状況を踏まえて、公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会は、平成9年12月「新しい時代の感染症対策について」報告書をまとめて公表した。
同報告書において、「感染症その他の疾患について、適切な医療の確保のために海外における症例の収集その他国際的な調査研究並びに技術者の研修を行い、併せて医
療に係る国際協力に関する調査研究及び技術者の研修を行うこと」を使命として、設置された当国立国際医療センターは、我が国の感染症対策における臨床及び臨床に直
結する先駆的研究の中心機関となることを求められているとともに感染症指定病棟(床)を有する施設の中心的施設として、医療従事者を対象とした研修会の開催等を通
じた知識・技術の移転を行うことが提案されている。
この使命を速やかに実行に移すために、国内の医療従事者に「新しい時代の感染症対策」に対処するための教育を行うことが必要と考えられる。
現在、国際協力に資する医療従事者の教育は当センター医療協力所をはじめ、東京大学医科学研究所、長崎大学熱帯医学研究所等において研修が行われているが、我が
国での医療を目的とした医療従事者の系統的卒後教育システムは国内に存在しない。本研究は効果的、効率的、かつ実用的な感染症対策を目的とした医療従事者の教育シ
ステムの開発を目的とする。
研究方法
感染症に関する医療従事者の系統的教育システムの開発のために、以下の国内に現存する研修コースについてその内容の調査を行った。
1.東京大学医科学研究所:熱帯病基 課程研修コース
2.長崎大学熱帯病研究所:熱帯病研修コース
3.JICWELS:海外感染症対策専門家研修コース
4.JICWELS:国際緊急保健医療援助研修コース
5.JICA:臨床感染症学研修コース
6.国立国際医療センター:国際医療協力人材養成事業研修コース
7.国立国際医療センター:国際感染症等専門家養成研修コース
さらに海外における実状を知るため、英国の複数の機関を訪問し、担当者に面会して研修コースについての情報を蒐集した。
結果と考察
国立国際医療センターの感染症スタッフによる会合を重ね、わが国での研修コースの実状について検討するとともに、英国に出張した研究員の持ち帰った資
料を中心に英国の研修の実状について検討した。その結果、わが国の東京大学医科学研究所および長崎大学熱帯医学研究所における研修コースは、研修内容が国内の医療
従事者が新しい時代の感染症対策に対処するためのものではないと結論す るに至った。
一方、国立国際医療センターで現在JICWLSとJICAが実施主体となって行っている研修については、対象が外国人であったり、参加に限定された条件が存在したりしてい
るため、研修内容 はともあれ、運用上の問題点があることがわかった。本年度から国立国際医療センターが実施主体となって行う国際感染症等専門家養成研
修コースは、国内の感染症専門家養成という点から目的を同一にする研修内容が多いので、今後同コースと共同での研修を視野に入れる必要性があることがわかった。
国外には、感染症に対処する医療従事者のための研修コースが多数あることが文献の調査で判明した。特に米国、英国、フランス、ドイツには数多くの研修コースがある
。またタイのマヒドン大学熱帯医学部の研修コースやマレーシアの医学局での研修コースはアジアでは伝統のあるコースである。今後、これらの研修コースの資料を取り
寄せ検討する必要がある。
英国の研修コースについては、研究員が視察した結果、わが国での研修を計画する際に参考になると思われる事項は以下のような諸点である。
1)感染症・寄生虫症については、教室での講義だけでなく検査実習や臨床を組み合わせることができる体制を用意することが望ましい。
2)リバプール大学では文献の批判的読み方の時間をどのコースでも用意し、研修で文献を読む訓練を行っている。これは、研修を設定する際に組み込むことが望まし
い。
3)感染症について知識の少ない医師を対象とした基礎的なやや長期の研修と、現場経験の豊富な最新の話題を中心とした短期間のコースとを対象に合わせて提供でき
ることが望ましい。
4)医師のみならず、看護婦、検査技師など各職種についてそれぞれに合った研修コースが設定されると現場でのチームとしての理解が深まり、緊急の際に研修の成果
が活用されやすいであろう。
結論
国内の医療従事者が「新しい時代の感染症対策等」に対処するための教育シテムの開発を目的として、国内外に現存する研修コースの内容の調査を行った。その結
果、特に英国の複数の研修コースの内容に、わが国における研修コースの開設に参考となる事項が多数あることがわかった。研修コース開設に参考とするべき点が多々あ
ることがわかった。

公開日・更新日

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