文献情報
文献番号
200500134A
報告書区分
総括
研究課題名
肺がん感受性を規定する遺伝子に関する研究
課題番号
H17-ゲノム-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
横田 淳(国立がんセンター研究所 生物学部)
研究分担者(所属機関)
- 河野 隆志(国立がんセンター研究所 生物学部)
- 坂本 裕美(国立がんセンター研究所 腫瘍ゲノム解析・情報研究部)
- 猪子 英俊(東海大学医学部基礎医学系)
- 國頭 英夫(国立がんセンター中央病院)
- 鈴木健司(国立がんセンター中央病院)
- 山本精一郎(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肺がん感受性を規定する遺伝要因を解明し、肺がん予防実現に向けた分子情報を得ることを研究目的とする。
研究方法
詳細かつ正確な診療情報を持つ肺がん症例1500以上を用い、高い統計学的検出力のもとに種々の遺伝子多型に対する症例対照研究を行うことで、肺発がん感受性遺伝子群を同定する。病理組織型や喫煙歴等の診療情報、遺伝子多型の組み合わせによる相関の変動を明らかにすることで、多型群の肺発がん感受性における役割、多型間、環境因子との相互作用を明らかにする。
結果と考察
症例対照研究に必要な血液試料・診療情報の収集を行った。その結果、肺がん症例は、2,000例に達した。約100-kb間隔で散在する27,000箇所のマイクロサテライト多型に関して、肺腺がん症例、非がん対照のアレル分布の比較を行い、統計学的に有意にアレル分布の異なる多型138個を同定した。また、マウス肺腺腫感受性遺伝子に対応するヒト遺伝子LRMP、LAS1、KRAS2に存在する遺伝子多型を10個同定した。36個のDNA修復酵素遺伝子に存在するアミノ酸置換を伴う多型50個について、肺がんリスクとの相関解析を行い、塩基除去修復遺伝子であるMTH1の多型と肺小細胞がんリスク、OGG1遺伝子の多型と肺腺がんのリスクとの相関を見出した。よって、MTH1、OGG1遺伝子の多型は、肺小細胞がん、腺がんリスクを規定している可能性がある。全ゲノム相関解析で同定された138個のマイクロサテライト多型周辺には、これまでに肺がんリスクとの相関が報告された遺伝子は存在していなかった。また、ヒトLRMP、LAS1、KRAS2遺伝子、DNA修復遺伝子に関しては、データベースに存在しない多型を独自に同定している。よって、さらなる相関解析によって新規肺がん感受性遺伝子を同定できる可能性が高い。
結論
研究で収集された検体は、均一、かつ、詳細、正確な診療情報が付随しているため、適切に組織型等の因子と遺伝子多型との相互作用の解析が行えると考えられる。本研究のさらなる進展は、肺発がん感受性遺伝子群の同定のみならず、それらの肺発がん感受性における意義の解明につながると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2006-04-11
更新日
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