関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究

文献情報

文献番号
200500133A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ関連遺伝子の同定とその機能解析、相互関連の研究
課題番号
H17-ゲノム-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学東医療センター)
  • 山田 亮(京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター)
  • 高地 雄太(理化学研究所横浜研究所遺伝子多型研究センター)
  • 沢田 哲治(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 駒形 嘉紀(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 川畑 仁人(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
  • 神田 浩子(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)の原因は不明であり、多発関節炎を主体とするが血管炎、間質性肺炎などの全身性の疾病である。RAの罹患は個人および社会に多大な負担を強いており、原因の究明、適切な治療法の開発は急務である。我々は理化学研究所遺伝子多型研究センターと共同で、RA関連遺伝子としてPADI4、SLC22A4、RUNX1、FCRL3を同定した。そこで本研究では、それぞれの遺伝子の機能を詳細に探索し、複数の関連遺伝子間の相互作用、治療薬との反応など、ゲノム情報を今後のRA診療に直結させるシステムを構築することを目的とした。
研究方法
分子生物学的方法を主として用いた。
結果と考察
1.Peptidylarginine deiminase (PADI)4 の機能解析
PADIはペプチド中のアルギニンをシトルリンに変換する酵素である。抗シトルリン化自己抗体がRAに非常に特異性が高いことが最近報告されている。そこでRAの滑膜中でシトルリン化され、かつ自己免疫応答の標的となっている分子を同定した。滑膜由来ライブラリーからはI型コラーゲンが、軟骨由来ライブラリーからはeukaryotic translation initiation factor 4G1(elF 4G1)が同定された。これらのことから、RA患者のシトルリン化蛋白抗体の標的は単一ではないことが判明した。
2. Solute Carrier Family 22 Member 4(SLC22A4)の機能解析
SLC22A4は、有機カチオンを輸送する分子であるが、詳細な機能は不明である。そこで、SLC22A4をノックダウンしたところ、IL-8遺伝子発現が亢進したことが判明した。
3.民族差の問題
PADI4に関しては、日本、韓国で我々とは独立した研究組織により確認されたが、欧米では、追試による確認がとれないとの報告が多い。そこで、米国、韓国、オランダなどの研究者とともに共同研究で短時間に情報交換するシステムを立ち上げつつある。
結論
PADI4, SLC22A4についての機能解析を進めた。現在、より詳細なRAの病態情報をもつ患者DNAサンプルの収集システムを進めており、遺伝子多型や遺伝子間の相互作用などが検討できるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-04
更新日
-