多施設連携による高齢者主要疾患横断的メディカル・バイオリソースバンクおよびデータベース構築と遺伝子・遺伝子産物網羅的解析に基づく疾患・薬物応答関連分子経路の解明

文献情報

文献番号
200500132A
報告書区分
総括
研究課題名
多施設連携による高齢者主要疾患横断的メディカル・バイオリソースバンクおよびデータベース構築と遺伝子・遺伝子産物網羅的解析に基づく疾患・薬物応答関連分子経路の解明
課題番号
H16-ゲノム-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 輝彦(国立がんセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 後藤 雄一(国立精神・神経センター神経研究所)
  • 山田 哲司(国立がんセンター研究所化学療法部)
  • 安田 和基(国立国際医療センター研究所)
  • 友池 仁暢(国立循環器病センター)
  • 斎藤 博久(国立成育医療センター研究所)
  • 澤田 純一(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
265,948,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
痴呆、がん、糖尿病、高血圧、喘息等の疾患の革新的な診療・予防法開発を最終目的として、臨床試料に対する分子網羅的な解析から出発する研究を展開する。そのために必要な研究基盤として、各疾患を担当する国立高度医療センターの研究者の連携のもとに、疾患omics解析に至適化された施設内バイオリソースバンク及び研究用診療・生活習慣情報データベースの構築を推進する。
研究方法
国立高度医療センターを中心に試料及び臨床情報・生活習慣情報の集積を進め、各疾患研究を展開した。アルツハイマー病、膵がん、高血圧の候補遺伝子多型について、診療情報や中間形質との相関を解析した。肺非小細胞がんの化学療法施行前の血漿プロテオーム解析により、奏効性と相関するペプチドピークを探索した。発現プロファイル解析による免疫異常関連疾患の遺伝子探索を行った。薬物応答関連候補遺伝子の日本人の主要ハプロタイプとその頻度を推定した。
結果と考察
膵がんの易罹患性と相関する代謝酵素の遺伝子多型を新たに見出した。血漿のプロテオーム解析で肺非小細胞がんの治療効果に相関するペプチドを見出した。糖尿病性網膜症症例の硝子体液のプロテオーム解析により、網膜症に特徴的なシグナルの存在を示唆した。高血圧と相関するCYP11B2遺伝子多型がアルドステロンレベルに影響を与えること、エラスチン遺伝子多型とpulse wave velocityの間に相関が認められ、収縮期高血圧の素因であること等を示唆した。構築した炎症組織固有に発現する遺伝子データベースを利用して、川崎病の急性期の単球に強く発現し、炎症をひきおこすS100A8/A9蛋白質を同定した。薬物応答・副作用発現を規定する各種薬物動態関連遺伝子6種の高多型密度ハプロタイプ情報を取得した。各疾患とも、共通性のあるシステムで個人情報を保護し、国立高度医療センターの特長を活かした施設内バイオバンクとデータベース構築を進めた。今後施設内外の様々な研究を通して活用・提供され、分子情報に基づく合理的な診療・予防の個別化や、革新的な疾患対策の標的分子の同定等の研究に貢献すると考えられる。
結論
高度専門医療機関における臨床試料等に対する疾患及び薬物応答関連遺伝子とその産物の体系的解析に基づく疾患研究を推進するために必要な施設内バイオバンク・データベース基盤形成を継続するとともに、個別の疾患・分子に関する複数の新知見・成果を得た。

公開日・更新日

公開日
2006-04-19
更新日
-