抗血小板薬の反応性に関連する遺伝子の同定

文献情報

文献番号
200500130A
報告書区分
総括
研究課題名
抗血小板薬の反応性に関連する遺伝子の同定
課題番号
H16-ゲノム-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池田 康夫(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 村田満(慶應義塾大学医学部)
  • 鈴木則宏(慶應義塾大学医学部)
  • 猪子英俊(東海大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動脈血栓症の再発予防、一次予防に抗血小板薬が頻用されているがその効果は必ずしも十分とはいえない。その原因の一つは抗血小板薬の効果に個人差が大きいことである。本研究の目的は抗血小板薬の薬効の個体差の原因となる遺伝子を同定し、より有用性の高い抗血小板療法を確立することである。
研究方法
抗血小板薬非服用の健常人における血小板機能(in vitro アスピリン添加)の検討結果から薬剤感受性群と非感受性群に分け、それぞれのDNAサンプルに対してマイクロアレイ(MA)解析を行った。脳血管障害に関与する遺伝子多型を検出するためにcase-control study/MA解析を行った。ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)遺伝子を正常冠状動脈内皮細胞(CAE)に導入しMAを用いた発現解析を行った。血小板からミトコンドリアDNAを抽出しPCRによりその確認を行った。dual specificity phosphates(DSP)に酸化ストレスを作用しその構造変化を検討した。マウスES細胞からin vitroで分化誘導した巨核球や血小板を用いて微少サンプルにおけるMA解析やアスピリン反応性を検討した。
結果と考察
健常人でのアスピリン反応性に関与する遺伝子多型で既知遺伝子トップはreceptor tyrosine kinase-like orphan receptor 1であった。今後は血栓症患者での検討を行う。脳血管障害に関与する遺伝子多型で既知遺伝子トップはcoactivator associated arginine methyltransferase 1-likeであった。今後は今回検出した遺伝子多型を候補遺伝子として研究を行う。CAEへのhTERT遺伝子導入によりICAM2とVWFの発現低下を認めた。DSPの酸化ストレスによる構造変化を認めた。血小板ミトコンドリア遺伝子を検出した。抗血小板薬反応性を指標にしたQTLマッピングの可能性を認めた。マウスES細胞からの巨核球や血小板の機能はアスピリンにより抑制された。それら細胞を用いて微少サンプルにおけるMA解析が可能であることを認めた。
結論
健常人でのアスピリン反応性や脳血管障害に関与する遺伝子多型を検出した。CAEにおいてhTERTのICAM2やVWF発現調節の関与が示唆された。酸化ストレスによるDSPの構造変化を解明した。マウスES細胞からの巨核球や血小板の機能はアスピリンにより抑制された。

公開日・更新日

公開日
2006-08-01
更新日
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